池田紘子02年卒業(12期生)

現在 沖縄国際大学社会文化学科在学中

(西宮市立甲陵中学校卒業)

 

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沖縄に住み、沖縄の大学へ進学してから1年8ヶ月が過ぎた。高校3年生のときに岩切先生の「沖縄戦跡ツアー」に参加し、在日米軍基地が集中する沖縄、沖縄 戦の傷がまだ癒えぬ沖縄、平和の発信をする沖縄、若者の力強い声が響く芸能の島・沖縄など、いくつかの沖縄を見、感じてきた。そのとき何か、このままで終 わらせたくない、もっと「沖縄」を知りたいという思いが強くなり、沖縄行きを決めた。

 

住み始めてみると、自分がとても「沖縄」を意識していることに気付いた。「沖縄だ!!」と意気込む私に対して、周りは沖縄で生まれ育った人ばかり。私が通 う沖縄国際大学は県外出身の学生が1割にも満たないローカル大学であり、「沖縄」は当たり前にあるものなのだ。「ナイチャー(内地の人)」と呼ばれその観 念にとらわれたり、「ウチナーンチュ(沖縄人)」でないことに後ろめたさを感じたり、最初は戸惑うこともあったが、今は自分が生活している場「沖縄」とし てそのままを受け入れるようにしている。

私が専攻しているのは社会文化学科の平和学だ。今年から本格的なゼミが始まり、平和学ゼミでは伊江島の戦中・戦後~現在を中心に学んでいる。伊江島は岩切 先生のツアーでも訪れた島だ。ツアー後、私は阿波根昌鴻さんという伊江島で平和を創る活動をしている方が書かれた本を2冊読んだ。「米軍と農民」(岩波新 書、1973)と「命こそ宝」(岩波新書、1992)である。この2冊の本、特に「命こそ宝」は私が今まで読んだ本の中で印象に残っている本の1つだ。こ の本は阿波根さんの思想とも言える平和へのおもいや、人が生きていく上で大切なことを伝えてくれる。いがみ合ってはいけない、相手を非難するのではなく、 常にわかってもらおうと説得することが大切、わからない人を不幸と思い、わかるように努力していく、そうして「平和」が確立していく。阿波根さんの存在が 私に沖縄行きを決意させたといっても過言ではない。少しでもこの考えを自分の中に持てるようになりたい、と思って沖縄に来た。残念なが ら昨年2002年3月に阿波根さんは享年101 歳で亡くなっている。

その阿波根さんが平和を創る学習の場として作られたのが「わびあいの里」である。わびあいの里には資料館とやすらぎの家と呼ばれる宿泊・学習部屋があり、 阿波根さんは長年ここで訪問者に伊江島の戦中・戦後史、彼の考えを伝え続けられてきた。今は養女である謝花悦子さんが語り部として里を守られている。

平和学ゼミでは、里からの要請で伊江島のパンフレットを作っている。伊江島にパンフレットはあるが、私たちが作っているパンフレットは、観光名所ではなく伊江島の戦跡、現代の歴史がわかるものである。完成したら里に置かれ、配布されることになっている。

このような後々にまで残るパンフレット作りを任せられ、ゼミ生は皆戸惑い気味だったが、学習や調査を進めるにつれ、少しずつ自信を持ちながら作業に取り組 めるようになってきた。戦争当時の体験を聞き取りしたり、当時のガマ(自然壕)や日本軍の陣地壕の場所を確認したり、資料と合わせながら現在の島の基地依 存型と言われる経済を検証したりと調査していった。印象に残っているのは地主に対しての日本政府の対応の仕方だ。伊江島にはフェンスに囲まれた演習地と、 米軍用地ではあるが地主に土地使用を許可している(本来地主の土地なのだが)黙認耕作地・黙認住宅地とがある。土地の利用を地主が認め、日本政府と契約し ている地主を契約地主、そうでない地主を非契約地主と呼ばれる。日本政府は地主や住民同士が連帯して基地反対を訴えられなくするようなやり方や、地主に契 約させるようなやり方を巧みにしているのだ。例えば、黙認耕作地に土地を持つ地主が契約を拒否すればその土地を返還し、地主としての発言権を失わせる。土 地は穴あきで返されてもどうしようもないし、そうすると軍用地料がもらえなくなってしまう。生活のために契約している人、どうせならお金をもらったほうが いい、と契約している人は大勢いる。騒音被害のひどい地域では黙認住宅地にすむ住民は軍用地料がもらえるが、そうでない住民はただ被害に遭うだけ。向かい の家はお金もらっているのにうちはもらっていない、といったいがみ合いが生じ、地域の中で連帯できない。また、島へは基地あるが故の特別な予算が下りてい て、その予算で伊江島の経済は成り立っている。調査を進めていくうちにこういったことを学んできた。

どうしていけば良いのかはわからないが、この実態を知らせることが大事である。私たちが作っているパンフレットには「沖縄戦の悲劇」だけでなく、現在の問題につながるような内容を載せようと思っている。今年中に原稿を完成させることを目指し、現在まとめる作業をしている。

在日米軍基地が集中する沖縄は、偶然そうなったものではない。「沖縄の問題」ではなしに、基地問題は日本の問題であり、世界の問題でもある。何事でもそう だが、いかに自分の問題としてとらえることができるか、その心持ちが大切なのではないだろうか。まだ私も他人事のように基地を見ているところがあるが、こ れからも何をどうしていきたいかを考えながら活動に取り組んでいきたい。

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