2018年度 発達障がい支援セミナー ご報告

2018年7月31日(火)に発達障がい支援セミナー「発達障がいのある子どもの育ちを支える工夫とは」を開催いたしました。今年度は、石川道子先生(武庫川女子大学発達臨床心理学研究所 研究員)をお招きしました。

 

007.JPG

 

011.JPG

 

 

小児科医として活動を始められた石川先生は、「確定診断」にこだわらないことの重要性を教えてくださいました。発達障がい児への効果的な関わりは丁寧で具体的であることであり、その対応は発達障がいを持たない子ども達への関わりにも適応するというお考えで、大切なのはその子ども達一人ひとりに対しての知識を増やすことというお話は、多くの方の心に響いたことと思います。

前半は、発達障がいを抱える子ども達の情報処理の特徴についてのお話でした。

エピソードを交えた具体的なお話で、参加者の皆さんにとっても非常に分かりやすく、イメージしやすかったのではないでしょうか。

また、「子どものパニック時には私たち大人が不安な顔を見せないこと、焦らないこと」、「他の子ども達に的確に指示を出すこと」など支援者の基本的な心構えについても教えてくださいました。このお話からは、私達大人が子ども達の世界を理解し、本人が見えている範囲で指示を出したり、修正を伝えることが本人への支援に繋がることを強く伝えてくださってるように思いました。

後半は「自己理解が進むための育ち」についてのお話でした。

自己理解とは「自分ができる事の説明ができること」、「できないことはどのように手伝ってもらうと出来るかの説明ができること」です。

一番印象的だったのは、自己理解の程度は、家族内で障がいをどのように取り扱っているかが反映されるというお話でした。できる事、できない事の把握は家族内だけでは分からないことも多く、さらには感情のコントロールや他人を信頼する姿勢は、実は家族の伝承文化になっている傾向があるため、外部からの情報や、信頼できる大人の存在、家族へのサポートも必要不可欠というお言葉は、私達に新たな視点を与えてくださったように感じます。

発達障がいへの支援は、発達障がいだから社会適応が難しいと考えるのではなく、今目立っていることへ対応し、その行動や発言がなぜ目立っているのかの分析が重要であることを教えて下さいました。

参加された皆様にも様々な学びがあったことと思います。子ども達の特徴を理解し、日々の心理、発達支援の目標や心構えとしてご活用いただければ幸いです。

  石川先生、貴重なお話をありがとうございました。