不登校問題とは
(5)子どもからのシグナル

お母さんを叩くのも「お母さん助けて!」という必死のシグナルなのだと思います。

その暴力の多くは、母親に向かってきます。対人暴力の始まりですが、その前に対物暴力をすることがあります。傍にあるものをぶつけてガラスを割ったり、本当に危険な状態になることがいっぱいあります。それは彼にとっては、分かってほしいというシグナルです。家の中の物を親に分かってほしいと思うからこそ、子どもは一生懸命物を壊すのです。お母さんを叩くのも「お母さん助けて!」という必死のシグナルなのだと思います。

このように不登校問題の『第二次反応』は、昼夜逆転、対物暴力、対人暴力として現れますが、親にとって辛いのは自分だけではなく弟や妹に振るう暴力が出た時です。親とすれば下の子を守りたい気持ちになります。でもそこに親が割って入ると子どもはなお荒れます。本当にどうすればいいのか現実の問題はとても厳しいものです。でもこのように不登校だけでなく、行動に出る子ども達にどのように対応するかと言うのも深刻な問題ですが、もう一つの深刻な問題は物や人ではなく自分に向かう暴力が起きた場合です。

自分に向かう暴力は、多くの場合、リストカットをしたり、薬をいっぱい服用して自殺未遂を起こすことなどに現れます。

講師 廣木克行氏

(神戸大学発達科学部教授・登校拒否・不登校問題全国連絡会全国世話人・教育科学研究会全国委員)

「大阪YMCAでの講演会より一部抜粋」
著書:「子どもが教えてくれたこと」(北水)
「人が育つ条件」(北水)「21世紀を生きる君へ」(北水)