【選択科目】Youth for Causes ~social enterprise~ 高校生の私たちにできること

 IHSでは、豊富な選択科目があり、それぞれの興味に合った学びや体験ができることも私たちの魅力の一つです。今回はその中でも、前期の選択必修クラス「Youth for Causes」の紹介をします。

 Youth for Causeでは、世界の格差や異文化衝突、社会問題などについてワークショップやゲームなどの体験型学習も用いながら学びを深めてきました。その後、実際に大阪の貧困や格差問題などの社会課題に対して活動されている方のお話を聞くため、釜ヶ崎にフィールドワークにも行きました。

 様々な活動を通して、SDGsについても学び、最終的に自分たちが取り組みたいSDGsを3つに絞り、3チームそれぞれに「自分たちが社会課題のためにできること」は何かを考え、Action Plan(行動計画)を立てて実行しました。

 1つ目のグループはSDGs Goal 12 「つくる責任つかう責任」

 1~3年生4名のチームで、食品ロスの問題に取り組むことにしました。YMCA土佐堀会館に集う方々に協力を依頼し、2週間弱で30食品以上の寄付を集め、ほしい人はその食品を購入することができるシステムにしたため、15食品が売れ寄付金も得ることができました。

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 集まった食品はふーどばんくOSAKAに寄付しました。ふーどばんくOSAKAは、生活困窮者やひとり親家庭など、何らかの理由で十分な食事をとることができない状況の人々に食品を無料で提供する支援活動をしている団体です。高校生の彼らのアイデアで、寄付や寄付金を獲得し、ご家庭に余っていた食料を、必要なところに届けることができました。

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 2つ目のグループはSDGs Goal 4「質の高い教育をみんなに」

 1年生と2年生6名のチームで、「Celebrate our differences!みんな違ってみんな良い」ということをこどもたちに伝えるために出張授業を企画して、実施してきました。

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 HSCや起立性調節障害、ディスレクシアや不登校等、チームメンバーがそれぞれにIHSに来るまでに悩んだり向き合ったりしてきた経験談を元に、どんな人も違った特徴があり、社会の中では生きづらい特徴を持っている人もいるということを伝える授業でした。「今、悩んだり、苦しんでいる中学生が生きやすくなるために活動したい」という思いで取り組みました。

 今年度は梅田インターナショナルスクール、岐阜県瑞穂市立巣南中学校にご協力いただき、中学生向けに授業を実施することができました。

 また、大阪市立井高野中学校では内容的に教員研修に向いていると言っていただき、中学校の先生向けに90分の授業を実施してきました。

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 実際に中学校の先生方と「誰もがすごしやすい学校」についてディスカッションをしたり、自分たちの思いを直接伝えることもできました。学校生活で悩んできた彼らにとって、自分たちの経験を整理し、人に伝えることで自分たち自身もステップアップすることができた体験でした。

 3回の授業を通して、うまくいかなくて悔しくて涙したことも、アイスブレイクが予想以上に盛り上がって嬉しかったことも、感動して泣いてくださった先生がいたことも・・・全員がやって良かったと思えたAction Planでした。

 3つ目のグループはSDGs Goal14「海の豊かさを守ろう」

 1年生と2年生9名のチーム。海の豊かさを守るために、Actionプランをイベントと出張授業の2つにしました。

イベントチームが企画したのはビーチクリーンイベント。楽しく海洋ゴミを拾うため、ゴミ拾いだけでなく、すいか割りやビーチフラッグ等のアクティビティーも用意しましたが、あいにくの雨でしっかりゴミ拾いだけして帰ることになりました。

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 ビーチクリーンイベントでは、2グループに分かれてゴミ拾い対決をし、「どちらが面白いゴミがあったか」を競いましたが、たくさん拾うことができたチームの勝利!でした。海岸沿いには生活ごみ、フライパン、たくさんのプラスチックゴミ、傘、ペットボトル・・・などなど、1時間では拾いきれませんでしたが、参加したクラスの仲間は「楽しかった!」「また拾いに来たい」と達成感と充実感を得る体験になりました。大量の海洋ゴミに対してできる私たちの活動は小さなものですが、意味のあるものです。諦めずに、できることをコツコツとしていくことが大切だと思っています。

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 出張授業チームは、海洋汚染の現状を次世代のこどもたちに伝え、自分たちができることに取り組んでもらいたいという思いで授業を作りました。質の高い教育グループ同様、梅田インターナショナルスクール、岐阜県瑞穂市立巣南中学校にご協力いただき、中学生と小学生に授業をしました。

 海洋ゴミは、自分たちが夏の阿南キャンプで拾ってきた海洋ゴミを持ち帰り、授業の資料としました。授業内容を深めるため、特別講師による授業も受け、こどもたちに伝えたい内容を丁寧に考えました。中学生と小学生では授業の反応が違い、元気いっぱいの小学生には圧倒されそうになっていたIHS生でしたが、最後は小学生のやりたいことも取り入れて、一緒に動物クイズをし、とても盛り上がりました。

 休んだ人の代理で説明した人、こどもたちのアドリブを取り入れて活かした人、授業内容をわかりやすく伝えられるように努力した人・・・チームのメンバー同士で支え合い、やって良かったと思える授業を実施することができました。

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 ご協力いただいた各学校の生徒・教員のみなさま、IHS生に活躍の場を与えてくださり、ありがとうございました。

 すべてのチームが、自分たちが取り組みたいと思ったSDGsに対して、企画し、準備し、実際に行動することができました。高校生が持つ可能性は計り知れません。小さな一歩が、大きな変化に繋がること。社会課題に対して、誰もが行動することができることをこの授業で学び、社会に羽ばたいていってほしいと願っています。