校長メッセージ

山根 一毅

校長 山根 一毅

A challenge for world peace

世界の隅々までグローバル化の波が押し寄せている現在、「グローバル」という言葉は、時にとても暴力的で、すべてを飲み込んでしまうようなイメージがあります。しかし、「グローバル」の語源となるラテン語の「Globus」には「球体」や「かたまり」といった意味があり、物質がバランスをとりながら生み出す美しい球体をイメージさせます。私たちが暮らす地球「Globe」も多様な人々・文化・自然・社会などが美しく組み合わされた、まぁるいかたまりであると言えるでしょう。

YMCA International High School(IHS)には、とてもユニークな若者たちが集います。様々な国や文化のルーツを持つ生徒。英語を学び世界に向かって飛び立つことを目指す生徒。社会の「当たり前」に疑問を持つことができる生徒。さて、この集まりを美しくまぁるいかたまり「Globe」に組み合わせることができるでしょうか?それはIHS生に与えられたチャレンジだと私は考えています。それは、とても大きな挑戦です。実際、この地球上では様々な争いが絶えることがありません。

私たちはIHSという学校を「全ての人の尊厳が守られ、差別や分断ではなく、共感と和解によって作られる社会」を目指すための学びの場としていきたいと考えています。生徒と教職員が立場を超えて共にチャレンジする学びの場です。そんなチャレンジにみなさんが加わることで、もっと大きなまぁるいIHSをつくることができます。

鍛治田 千文

副校長 鍛治田 千文

自分が認められる楽しく学べる校風

生徒一人ひとりの個性が認められる学校です。
強制や押しつけではなく、生徒の考えを受けとめ、自分を表現する環境があります。
自由で暖かな校風の中、生徒たちは自主性を育んでいきます。海外帰国生をはじめ、不登校経験等で従来の学校のあり方に疑問を感じている生徒たちも、安心できる環境で生き生きと見違えるようになります。
良い学校に進み、良い就職先を見つけることだけが教育の目的なのでしょうか。私たちは、人間が一番豊かに成長できる高校時代に、競争だけを優先させることに疑問をもっている学校です。
IHSは誰もが豊な人生を送るため地球市民として育つことを目的としています。競争をなくしても「認められたい」という気持ちがかなえられたときから、生徒は自己肯定感と希望を持ち、自分から学びはじめます。

アットホームな学校

1学年30人のアットホームな学科、それがYMCA IHS(International High School)です。
でも学校全体では、200人以上の留学生が在籍し、校内には保育園や英語幼児園もある「地球」のようなYMCAです。

IHSは1988年、当時の文部省が提言する新国際学校を先取りし、真の国際人を育成するために創った学校です。カリキュラムの先進性だけでなく、日本の学校が生徒に要求してきた過度の学校への「適応」や「忠誠」を排除しました。そこから四半世紀が過ぎ、時代も生徒も変わり、また「学校」に求められるものも変化しました。帰国生も必ずしも英語圏からだけではありません。多様な背景をもつ生徒達が「英語で世界に出たい!」「絶対に話せるようになりたい!」「外国人と話がしたい!」等の思いでここに集まっています。
混じりけのない純粋な小麦粉だけでできたパンは固いが、そこにちがうものであるイースト菌をいれることで、生地が膨らみ、やわらかくふかふかなパンになります。
つまり、混じりけがあり、純粋でないほうが豊かになるのです。学校で考えると、動機や目的、学力等が同じである生徒を集めたほうが都合がよく効果的で、大学入学などの目標達成がたやすいかもしれません。でもそれでは豊かで暖かい、優しい人の集まりにはなりません。ともすれば忘れがちになる、違うことも大切であること、違いを大切にする世の中が豊かであるのです。
IHSでは「英語を学びたい…」という思いはみな同じですが、動機や学力、ゴールはさまざまです。私たちは生徒達がもつ多様な価値観を大切にしています。
わかりあうことは難しい場面もありますが、1人の人間として、地球市民として理解しようとすることを大切にしています。