今回の「社会・文化・芸術特別活動」は、2004年7月にユネスコによって「世界文化遺産」に指定された高野山を訪れ、そのスケールの大きな自然と歴史的建造物に触れ、またその地で始まった伝統工芸を体験しようというものでした。前日に台風7号がどんどん接近し、実施が危ぶまれましたが、当日は朝から和歌山地方はむしろ晴天に恵まれ、散策と寺院来観にはうってつけの日和となりました。是非一緒に参加したいという保護者2名、引率教員2名を含め、10名の小さなグループでしたが、大都会大阪のせからしさから逃れ、心身ともにリフレッシュできた一日でした。
再織り体験

お世話になりました「織り心」(おりじん)の今城郁揺さん(IHSの英語教員、今城先生のお母さん)によりますと、「再織り」は明治10年に和歌山県の高野口で前田安助氏によって草案された類稀な特殊織物です。気品溢れる鮮やかな色合いと、やさしい風合いは国内外で好評を博しましたが日本ではほとんど途絶え、「幻の織物」と呼ばれてきました。ドイツのフェイラー社が有名ですが、高野口のほうが長い歴史を持っています。ご指導いただいた今城さんは、伝統工芸の復活と「再織り」が始まった高野山ふもとの高野口町の町おこしを兼ね、日本の誇るべき「再織り」が広く人々に知れ渡ることを願って日々頑張っておられます。ほとんどの参加生徒は初めての織物挑戦でしたが、母娘2人の今城先生のご指導宜しく、見事な作品を織り上げました。2時間半ほどの時間でしたが、最後まで夢中で取り組んでいました。学業のほうもいつもこうありたいですね。
奥の院

816年の弘法大師(空海)による開創以来1200年の歴史をもつ高野山。周囲を山々に囲まれた海抜約1000mにある山上盆地で、伽藍と奥の院の両壇を中核に総本山金剛峯寺のほか、117ヶ寺があり神秘な霊場を形成しています。私たちは今城さんの工房のある中心街の小田原通りから空海の霊廟のある「奥の院」まで散策することにしました。途中の天を突き破るような巨大な杉林や、参道の両側に切れ目無く続く歴史的有名人の大きな墓石の群れに感嘆しながら、フィトンティッド(fitontid)で満たされた静寂の中、1200年の時の流れに思いを馳せていました。
○生徒の感想

・高野山はとても気持ちよかった。今城さんのお母さんのお店「織り心」で機織りを体験しました。
意外に簡単で、みんな小さいハンカチサイズの布を作り上げることができました。行ける機会があったら、また行きたいです。
・緑がいっぱいで、青い空がすごくきれいで、空気もおいしい。
高野山はそんな居心地のいいところでした。今が真夏だということを忘れるくらい涼しくて、
自然のクーラーの中で体験させてもらった再織りもたのしく、素敵な作品ができました。いつもとは少し違うのんびりとした時間を過ごせた一日でした。
今城郁揺先生、どうもありがとうございました。