ボランティア特別授業 レーベンズポルトにて


32_1.jpg大阪YMCAの一部である本校はボランティア活動にも力をいれています。毎年、年間を通して様々なボランティア活動を行っています。その一環として東大阪市にある特別養護老人ホーム「レーベンズポルト」を訪問してきました。さまざまな交流を通じて生徒たちは何を感じとったのでしょう。

「レーベンズポルトにて」
                                本校生徒
 レーベンズポルトという建物に入ったときから、私の周りの空気がガラッと変わっていた。
 そこには、何とも言えない、今まで感じたことのない空気があった。私たちがそこへ行く目的が頭に浮かんだ。
 きっかけは、そんな深いモノではなかったんだけど、施設内に来る前から、私の中での意識は確実に変化をしていた。
 館内の方に、具体的な話と説明を聞いた後、いよいよ私たちの仕事が始まった。普段、老人の方たちが使ってらっしゃる部屋のドアをふいたり、手すりをふいたりした。
 あっという間に、その軽作業は済み、ゆっくりと見渡せていなかった、老人の方たちを改めて見た。私の祖母や祖父と何ら変わりのない年代の方たちばかりだった。
 その人たちは、何をするわけでもなく、ただ、ジーッと大広間のイスに腰を下ろしていただけだった。挨拶をしても、返答はなく、少し自信が消えかけたけれど、めげていてはダメだと思った。
 掃除が終わると同時に昼食時となった。私は、一つのテーブルに四人のおじいちゃんたちが座っている席を任せてもらえた。
 とりあえず、ただ、ひたすら昼食を食べているおじいちゃんたちに対して、私は何をすればいいか分からなかった。自力で食べられる人もいれば、そうでない人もいる中で、私の席の四人のおじいちゃんの一人の方が自力で食べることはできるんだけど、速度が異常に遅かった。他の席の人でも、そんな人はたくさんいたんだけど、私は介護に関しては全く無知で途方に暮れて泣き出しそうだった。
 しかし、私の隣に座っていたおじいちゃんが助け舟を出してくれて、私は、その食べるペースが遅いおじいちゃんに食事介助という体験をさせてもらえた。そのときに私は、口に運ぶ食べ物の量や、食べ物を口に運ぶペースや、そのおじいちゃんの心情などをすごく考えさせられた。
 ペースト状になった食事を毎日食べる気分はどんな感じなんだろう?自分で自分の食べるべきものを自力でではなく、介助してもらう気持ちはどんなものだろう?
 色んな人を見て、色んな人に私自身で触れて、考えをめぐらすのを繰り返した。
 その中で、たくさんの個人的な私情と考えが浮かんできて、私は本当に今日一日が素晴らしいと思った。
 その後、少しだけそのおじいちゃんたちと会話をして色んな話を聞いた。というか、実際に交わした言葉は少なかったけど、表情や口調が、彼の言いたい気持ちが、ひしひしと伝わった。
 もっと皆と長くいたいと思った。ここにいる間、考えが絶えなかった。
 ヘルパーさんの話も詳しく教えてもらえた。すごく難しい現状で、介護施設でもっとヘルパーさんも老人の人たちもより良く成り立っていく為の解答、そして普段めぐまれながら暮らす自分自身について、本当に色々考えなければならないなあと思いました。