海外研修<タイ>

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本校の海外研修では、1990年の1期生以来、例年アジアの高校との交流を実施してきました。このところは、北部タイの古都チェンマイのミッションスクールである姉妹校PRC(The Prince Royal's College)との交流を続けています。こちらから行くばかりでなく、日本に迎え入れての相互交流が出来ています。PRCの過去の参加者には、この交流を通して日本を知り、国立チェンマイ大学等で日本語を専攻し、タイと日本の架け橋として活躍している卒業生もいますし、IHSの卒業生の中には、大学でタイ語を学んだ人もいれば、現在チェンマイの日本大使館で日本政府ODA(Official Development Assistance, 政府開発援助)担当として大きな仕事で活躍している卒業生もいます。
今回のプログラムでは、元横浜YMCAの吉田登さんが設立・運営されているエイズ孤児支援センター Ban Santa Clause Foundation「さんたの家」を訪問し、お話を聞くことができました。

タイの大自然を感じながら

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タイに到着して次の日、IHS一行はチェンマイからバスで一時間の所にあるエレファントパークに向かいました。このエリアでは古来より運搬手段として象や牛、また竹で作られたイカダを使って物を運び、特に山奥の方では現在でも実際におこなわれています。
まずはイカダに乗って川下り!竹を組んで作られたイカダに乗って、静かな川をゆっくりと流れていきます。耳を澄ませば、川のせせらぎ、鳥の鳴き声、木々の葉が揺れる音、そして優しいイントネーションの北タイ語が聞こえてきます。時折、船頭さん(?)が「try !try!」とイカダを支える棒を渡してきて「船頭体験」をさせてくれました。
昼ご飯を食べ終え、次は象に乗ってトレッキングです。一頭の象に2人乗り、急な山肌を上り下り。大きな象の背中に揺られ(時々ずり落ちそうにもなりながら)生徒たちは「キャー!ワー!!」と楽しそうに(?)喚声をあげていました。

Real culture experience

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エレファントパークから帰ってくると、この研修中のメインポイントの1つであるホームステイです!IHSの姉妹校であるPrince Royal’s College(以下PRC)の生徒宅で二泊三日お世話になります。それぞれのホストファミリーがホテルまで迎えに来てくれるのですが、待っている生徒の表情は、緊張が6割と期待感が4割。また今回は、2年前に来日し、本校でのExchange Programをおこなった際にIHS生宅に滞在したPRCの生徒が出迎え、お互い再会を喜び合っていました。
 …
そして、2日後の夕方。ホテルに帰ってくる本校の生徒たち。「めっちゃ楽しかった!」「いろんなところ連れていってもらったよ!」と次々に報告してきてくれます。もちろん、全員が満足のいくホームステイ…というわけにはいきませんが、それぞれタイ・チェンマイスタイルの実際の生活を体験することができたようです。
ホームステイから帰ってきたその夜は、タイ・チェンマイの伝統舞踊を見ながら宮廷料理が食べられる「カントーク・ディナー」に行きました。エキゾチックな雰囲気に包まれて、美味しいタイ料理に舌鼓をうち、なんとなく贅沢な気分に。2日ぶりに顔を合わす生徒たちは、各自どんなホームステイだったかを楽しそうに話し合っていました。

さんたの家

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今回訪問させていただいたBan Santa Clause Foundation(「さんたの家」)は、元横浜YMCA常議委員会議長・横浜ワイズメンズクラブ(YMCAの支援組織)会長の吉田 登氏によって、2003年12月1日世界エイズデーの日に、チェンマイ県サンカンペーン郡の農村部に設立されました。活動内容は、以下のとおりです。

1、エイズ孤児、その他の要因による孤児、生活困窮家庭児童への奨学支援
2、生活困窮家庭、山岳民族への生活支援、食料品の援助、医療費の支援、職業訓練
3、養護施設「さんたの家」の管理と運営

吉田さんは、1999年にバンコクYMCAと協同で活動を開始され、2002年に12月にエイズ孤児ケアセンター「ハッピーホーム」を始められるなど、日本から移住され、タイのエイズ孤児問題に正面から取り組んで来られました。
「さんたの家」は、チェンマイから1時間くらい走ったところにあり、周囲を山に囲まれた田園の真ん中にありました。赤い屋根が印象的な建物です。当日、吉田さんは炎天下外に出て満面の笑顔で私たちを出迎えてくださり、パワーポイントで世界のHIV患者の現状や、エイズで親を亡くした孤児たちの窮状を詳しくお話頂きました。
私たちは、世界で2005年のエイズによる死者は310万人にのぼり、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)に感染して生きる人の数は、推定4030万人にものぼり、毎年500万人を超えるペースで増えていること。タイは、エイズ対策が成功したケースとして広く賞賛され、成人の陽性率は2003年には成人推計1.5%まで低下したこと。マッサージパーラー等の間接的なものを含め、セックスワーカーを通した感染は相変わらずであること、IDU( intravenous drag user, 血管注射による薬物摂取者)への対策が急務であることなどを学ぶと共に、支援しておられたり、また「さんたの家」で実際に暮らす子どもたち一人ひとりの経緯や今の様子などを、聞かせていただきました。
お話をされている吉田さんの瞳・お顔は、本当のサンタクロースのように愛情で溢れんばかりで、同じYMCAで国際的な視野を養おうとしている生徒たちにとって、とても感動的でした。お別れの際にも、炎天下にも拘らずわざわざ外に出てきていただき、私たちのバスが見えなくなるまで大きく手を振り続けてお見送り頂きました。吉田さん、ありがとうございました。
以下は、Ban Santa Clause Foundation(「さんたの家」)のサイトです。IHSの皆さんも是非見ていただき、できればご支援をお願いします。

www16.ocn.ne.jp/~bansanta/index.html

学校訪問 at PRC

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ホームステイを終えた翌日の月曜日は幼稚園から高校3年まで7000人以上の生徒たちが学ぶPRCのキャンパスを訪問しました。やしの並木がある広大なキャンパスには学校の歴史がわかる博物館まであり、その立派さには唖然とするばかりです。朝の朝礼でIHSの生徒代表がスピーチし、その後いくつかのグループに分かれ高校の授業を見学させていただきました。ホームステイを提供してくれたホストの生徒たちとIHS生で、日・タイの若者文化や環境・社会状況を比較しながら、英語でのディスカッションの時間も持てました。お互い外国語なので、かえって気にすることなくコミュニケーションが取れます。
翌火曜の早朝にはチェンマイを発たないといけませんので、この日の夜には早くもフェアウェルパーティーを持ちました。小グループに分かれて昨年から準備を進めてきたダンス・簡単日本語講座・2人羽織・歌のパフォーマンスを披露しました。PRCの生徒たちも一緒になって最高に盛り上がった会にできました。会の最後に生徒代表による感謝の言葉を述べ終了した後も名残を惜しむ気持ちが高ぶり、会場を後にすることがなかなかできませんでした。

チェンマイからバンコクへ

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チェンマイからバンコクへ移り、空港からバスで約1時間ほど、バンサーンに着きました。バンサーンはやし林と白いビーチが長く続く、隠れたリゾート地でもあります。ホテルに荷物を置き、生徒たちはホテルのプールで遊んだり、またビーチを散歩したり、もう残り少ないタイでの時間を惜しむように過ごしていました。

研修最終日、ホテルを出発してアユタヤ遺跡に向かいます。アユタヤはその昔、タイの首都として417年間続いたそうです。1767年にビルマからの侵攻で大きな被害を受け、現在は歴史を伝え続ける存在として、アユタヤ遺跡が残っています。
スケジュールの関係で1時間ほどの滞在になり、またとても暑い中、寺院や建造物、また侵攻を受けた当時の傷跡を見て、生徒たちは考え深い時間を過ごしたようです。