大阪YMCAサポートクラスとは
学習や対人関係、コミュニケーションに不安を抱えた子どもたちの全体的な発達や自立を長期的にサポートするクラスです。
大阪YMCA サポートクラスは、学習につまずきを持つ子どもたちの全体的な発達をサポートすることを願って、作られたクラスです。LD(限局性学習症)や自閉スペクトラム症、ならびにその周辺の発達につまずきを持つ知的な遅れを伴わない子どもたちを対象とし、神経心理学的な観点からつまずきの原因を考え、個々のニーズにあった学習・活動を小集団の中で進めていきます。
YMCAの発達支援事業の拡がり
1996年 サポートクラススタート
まだ発達障害という言葉が一般に知られていない時代に当時大阪教育大学教授の竹田契一先生(サポートクラススーパーバイザー)のお申し出からサポートクラスははじまりました。竹田先生がYMCAを選んでくださった理由は4つです。
1、「先駆性」
LDの教育が公的機関で始まるのに相当時間がかかるであろうという背景のもとに「民間」の動きが速いと考えられました。
2、「全人教育」
YMCAが長年行なってきた青少年育成のノウハウが充分活用でき、それが学習・運動・心の教育という子どもの全体的な能力をあげていくためのプログラムとなりうると考えられました。
3、『NPO』
NPOであるがゆえに将来、公的機関や企業とも連携が結びやすい、また協力者も得やすいという視点です。
4、『YMCAの民間としての主体性』
これらを前提にYMCAの事業として行なえると竹田先生は考えられたようです。
2001年 サポート体育スタート
「不器用なので体育が苦手」「ルールがわからないのでゲームにいれてもらえない」など保護者から伺い、体育クラスを開始しました。体を動かすことの楽しさ、小集団での活動、身体づくりを目的としました。
2003年 野遊びクラブスタート
「学校の友達とはうまく関われない」「学校の遠足はいつも楽しめず暗い顔で帰ってくる」等の保護者の声を聴き、夏のキャンプだけではなく、毎月の野外活動(野遊びクラブ)をはじめました。野外活動はYMCAが古くから得意とする分野で、自然の中でのびのびと遊ぶという目的で行いました。否定されず自分らしく行動できる中で、大学生のボランティアリーダーが小集団でのグループワークを実施しました。
2005年 表現・コミュニケーション学科(大阪YMCA国際専門学校高等課程)開校
保護者の皆さんから「子ども達にあう高校がない」と相談されました。学力はある程度あるが友達づきあいが苦手、自分の学び方をすれば伸びるけれども、今の学校教育では伸びないという相談でした。何より多くの中学生が「自分はだめだ」「自分は生きている価値がない」と自信を失っているのを見て、どうしても自己肯定感をあげる高校を創りたいと考えました。そこで一生必要な力、コミュニケーション力を伸ばし、学び直しができる多様な不登校生を対象とした高校を立ち上げました。それ以来、自己肯定感をしっかり持って次の進路を決める卒業生を送り出しています。
2008年 総合教育センター開設
発達相談・カウンセリング・巡回相談を行う総合教育センターを開設しました。年間900件ほどの相談を受けています。また、YMCA内外で巡回相談を行っています。
2012年 不登校中学生の学び庭「J-IVY」開設
表現・コミュニケーション学科入学時になかなかスタート地点に立てないほど傷ついている生徒が多いことから、少しでも自己肯定感をあげるため不登校中学生の学び庭を開設しました。
2016年 児童発達支援事業 「サポートキッズ」 スタート
サポートクラスに希望しながらも入会できない子どもたちやサポートクラスでカバーできない年齢を対象とした児童発達支援事業「サポートキッズ」を大阪南YMCA(天王寺)に設置しました。
このようにYMCAではサポートクラスが土台となり、子どもたちや保護者の声に応えるように発達支援事業を展開しています。
YMCAの願い
サポートクラスの目標
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幸せな社会生活を送る上で、また豊かな人間関係を築き続けていくために、もっとも大切なコミュニケーションスキルの習得を目指します。
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より良く生きていくために必要な学ぶ力の習得を目指します。
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自分のわからないことを明らかにし、わからない時の解決方法を学びます。このことによって自己理解を深めます。
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楽しく達成感のある学び、そして友達と出会う交流の場を拡げます。
YMCAだからできる多彩なプログラム
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個人のニーズと能力に適した指導を行います。
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自信をつけるために「成功した」や「達成できた」など実感できるよう、 配慮します。
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基本的な学習スキルに常に立ち返り、確認しながら、現在持っている知識と関連づけて学習を進めていきます。
充実した保護者へのサポート
YMCAでは様々なプログラムや相談などを通して、保護者のサポートを行っています。
サポートグループ
年3回 保護者向けの勉強会を行っています。【以下、実施内容例】
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中学卒業後の進路について。
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学校へのお願いの仕方と家庭での取り組み
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思春期においてよく起こりうるトラブルについて(男女交際や携帯電話など)
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褒め方ミニ講座(ペアレント・トレーニングより)
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進路を決める時の考え方(保護者の体験談から)
ペアレント・トレーニング
子どもへの対応を見直し、親子間のよい関係性を築くための保護者向けの連続講座です。
修了された保護者からは、対応を学んだことにより、親子関係が良くなり、子どもの状態もよくなったというお声をたくさん頂いています。
修了後もフォローアップ会を行なっています。
講師との面談
てくてくクラスでの年2回の面談の他、月1回クラスでもご希望によりご相談を承っています。
学校の先生にお話させて頂くことも可能です。
YMCA総合教育センターとの連携
サポートクラスに在籍しつつ、保護者の方が総合教育センターで発達相談等を定期的に受けることもできます。
発達支援セミナー
総合教育センターと連携して、毎年、第一線でご活躍の先生方をお招きして、講演会を行なっています。
また、2016年度は、20周年事業として、サポートクラスの元在籍生とその保護者に体験を語って頂く座談会を行い、好評をいただきました。