冬期第二回目の社会・文化・芸術活動は大有研と私たちIHSとの協力により素晴らしいものとなりました。大有研(大阪府有機農業研究会)とは「生命・循環・調和とバランス」をキーワードに大阪をはじめ全国規模でさまざまな活動を繰り広げている団体です。代表の尾崎零さんは本校でも特別授業などで教鞭を執ってくださり生徒たちにも馴染みの深い方です。今年で20周年を迎える大有研が「20+1」と銘うってミュージカルの公演を行いました。いままでの20年とこれから先とをつなぐ記念碑的な公演となりました。
このミュージカルでIHS卒業生の尾上裕香さんと在校生5名が大有研のメンバーと共演いたしました。出演者の多くが仕事を持っており、全体での練習も数えるほどしかできなかったにもかかわらず舞台上では見事に息が合った熱演を披露していました。
「20+1」は二部構成となっており、第二部は大有研のメンバーが栽培している有機農作物をつかっての立食パーティでした。滋味豊かな食材が一流の腕にかかり見事な料理となってテーブルの上に並べられ、参加者を大いに楽しませていました。
ミュージカル「かちくぼくさつどういちょういんほう」

二十年の長きにわたって「食」と真摯に向き合ってきた大有研ならではのミュージカル「かちくぼくさつどういちょういんほう」。全部ひらがなで読みづらいところもあるかと思いますがこれ、実は「家畜撲殺同意調印法」ということ。原作は宮沢賢治の「フランドル農学校の豚」。「かちくぼくさつどういちょういんほう」とは原作中に出てくる法律の名前。
お話の舞台は近未来。食べ残しの生ゴミが増えすぎてもうどうしようもない。政府はなんとかこの事態を食い止めるためある法律を施行しました。「かちくぼくさつどういちょういんほう」とは食肉にされる家畜を殺すには、殺される家畜の同意が必要だというもの。肉が食いたきゃ自分の手を汚せというこの法律が施行されたその当日、どこにでもある家庭でのてんやわんやを描きます。
照明と音楽、そして素人とは思えない演技力と歌唱力で話にぐいぐい引き込まれました。思わず体が動いてしまうような軽快な歌があり、その裏には命と食という人間の生活とは切り離せないテーマが隠されており、とても意義深いひとときを過ごすことができました。
本校の卒業生である尾上裕香さんもメインキャストの一人として登場。鶏に扮して軽快な動きと歌で楽しませてくれました。在校生も豚や牛となって舞台をにぎわせてくれました。リハーサルでは硬さが見えたかれらも本番ではふっきれたのか始終はつらつと映りました。
舞台裏でもIHS生は色々とお手伝いさせていただき、一緒になって一つの作品を作ったという実感を覚えることができました。これをきっかけに未来の名優が生まれることがあるかもしれませんね。
ミュージカルの後には素敵なパーティーが!

ミュージカルを楽しんだあとには大有研のメンバーの方々が栽培されている有機栽培の農作物を使っての立食パーティーが催されました。
色とりどりの料理の載った皿を囲むと、知らないものどうしでも自然と顔がほころんできます。味噌を塗った玄米の焼きおにぎりや鶏の塩釜焼きなど素朴ながらも普段は口にできない料理がずらっとならびました。野趣に富みながらも繊細な品々にこちらも元気を頂いた気分です。
見渡せば皆さんの顔は笑顔一色。
手間ひまかけた、健康的な食事の持つ力というものを目の当たりにいたしました。これからは毎日の食事をもっと深く考えて生きようと思います。