<2005年6月14日~16日>
IHSの授業の中に社会科/Geographyという授業があります。
地理?
そう、確かに地理ではあるのですが、地理は地理でもただの地理ではありません。
毎年初夏に高校生が主体となって開催される「モデル国連」参加への準備クラスでもあるのです。西日本各地から集まった高校生がそれぞれ、国連加盟国の代表になりきって、英語だけを使って討論します。今年の議題は「児童労働」。この日のために準備を進めてきたのです。
その「2005年度モデル国連」ですが、本校生徒&教員が出場してきましたので、そのレポートをどうぞ。
●担当教員からのレポート●

In June, seven IHS students participated in the Model United Nations conference held in Kyoto University of Foreign Studies. Our students more than fulfilled my hopes and expectations and our hard work and stress was forgotten. Successful participation in a Model U.N. conference requires preparation. We learnt about diplomacy, about issues on the agenda of the Model U.N. conference which this year was Child Labour.
The students working with a partner were assigned a country (Argentina, Paraguay, Ecuador, Honduras). The students then had to learn about their countries ;-policies of their country concerning Child Labour and they also had to learn about the organization and rules of procedure about the MUN.
It was great challenge for the students who were busy gathering information about these things. They had to spend a lot of time researching their country beginning with history, geography, culture and foreign relations. They then investigated their assigned countries political agenda. They had to learn a lot of new vocabulary and concepts! The students also practiced preparing a draft resolution to present at the conference. Again, they had to learn the correct procedure and terms that are used.
Before the real conference our students went to a MOCK conference. This gave us a chance to see how things would look, also we practiced introducing a resolutions, talking about it using informal and formal debate and caucusing. Students could meet other students from their region (we were Latin America) and work together as a team.
Finally, we went to the real conference! Everyone dressed formally, NHK and some newspaper came! For three days our students put their learning into practice and the students who spoke out and introduced clauses were happy and satisfied. Other students observed and took more of a supporting role.
As the class teacher, I was nervous too, but proud to see my class do their best at the conference!
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先月、Geographyの授業を受けている生徒7人と一緒に京都外国語大学で開かれたモデル国連に参加してきたのですが、結論から言うと彼らの頑張る姿は私の期待と予想以上のものでした。
ところで、このモデル国連に参加するには、いろいろな事前準備が必要です。まずは外交や今年のモデル国連の議題である「児童労働」について勉強しました。参加する生徒は各国の代表となるのですが、生徒たちはそれぞれ割り当てられた国(アルゼンチン、パラグアイ、エクアドル、ホンジュラス)について2人1組でパートナーと共に取り組み、その国が児童労働についてどのような政策をとっているのか、その研究を進めて来ました。モデル国連がどのような組織であるのか?議会の正式な手順のルールとはなにか?について学ばなければいけません。
またそれぞれ担当している国々の歴史、地理、文化や外交関係をはじめ、その国の政策議事についても調査し、議会で発表する決議草案を準備します。その過程で彼らは決議案を作り上げるための正確なアプローチ方法と、その際に使われる専門用語を学びました。
実際の議会が行われる前に、生徒たちはMOCK議会(予行演習)に参加しました。議会がどのように行われるのかを知る良い機会にもなり、生徒たちは決議案の発表や公式的・非公式的な討論方法での練習をしました。また、彼らの担当である中南米の別の地域の代表をしている、他校からの生徒に会い、一つのチームとして一緒に取り組みました。
そしてついに、モデル国連の日!みんな正装で出席です。NHKやいくつかの新聞社も取材に来ていました。この3日間、生徒たちは日々準備を重ねた努力の結晶をフルに生かし、発表を担当した生徒はとても満足げ。他の生徒たちも彼らをサポートする役割を大いに果たしました。
このクラスの担当教師として、私もとても緊張しましたが、生徒たちがこのモデル国連でベストを尽くしてくれたことを誇りに思っています!
●生徒感想●
最近、日本は常任理事国に入るか入らないかやアナン事務総長の息子はテロ組織に入っているなど、国際連合のニュースが絶えませんが、一体全体彼らが何をどの様に活動しているなんか、私は知りませんでした。しかし、今回初めてモデル国連に参加してみて、とても良い機会になったし、どの様な仕組みで私達の生活に関係しているのかが身をもってわかりました。
今回の議題は「児童労働」についてでした。まず、私達は児童労働についてインターネットで検索して資料を集めたり、図書館から本を借りてきたり、自分の担当の国の大使館などにコンタクトをとって、自分の国ではどれほど問題になっているのかを調べました。
私達はエクアドルの代表だったのですが、なんと児童労働がこの国の経済を支えていると言っても過言ではない様な情勢で、子ども達を働かせないと彼ら、そして彼らの家族までもが飢餓、ということになり、児童労働は必要不可欠なのでした。そこで、私達は国際連合と各国からの資金援助の下、訓練センターを設立し、過度の児童労働を強いられている子ども達を送り、読み書き、経済、道徳など教育しながら、彼らの将来の為に高度な技術を伝授する。そして、センターで製造した製品を援助国や国際連合を通して売ることにより、彼らにも賃金が渡るという構造を提案し、見事可決されました。
また、可決するには、他の35カ国半分以上の賛成、及び3分の1以下の投票放棄を得ることが必要であるため、時には闘い、時には協力しあってモデル国連参加国全員で1つの解決案を作成し、それが出来上がった時には会場は自然と拍手で一杯になりました。特に、私達南米諸国で結束しあい、全体の約半分の案が通った時は、達成感と喜びで私も感無量でした。
このように、私達の生活とは似ても似つかない出来事だけど、世界中で問題になっている事について、その国の代表として問題を解決するために最良の策を考え、議論しあう事はとても良い経験になりました。また、世界各国で協力し合う事の大切さ、そしてその価値がよく分かりました。
何かとワールドピースと詠われている今日、私はこのモデル国連を通して、その本当の意味を掴みました。
●京都新聞にて掲載●

~IHS生の真剣な眼差し!~