ステップアップクラス 日帰り就労体験
ステップアップクラスでは、進学や将来の就職、自立に向けて1年間クラスで学び、年度末にクラスでの学びを「就労体験」という実践の場で試してみる取り組みをしています。
今年度は大阪YMCAが堺市から指定管理を受けている「堺市立青少年の家」を利用して実施しました。
【1日目】
堺市立青少年の家は堺市南区にあり、最寄り駅の泉が丘駅からは1時間に1~2本のバスに乗ります。時間に余裕を持って行動しないとバスを乗り過ごすことになり、遅刻になることも...。活動場所に直接集合できることもアルバイトや就職を見据えた練習です。
予定通りバスに乗車できた人もいれば、間に合わなくてタクシーを利用した人、駅から走った人、今回も様々でした。遅れた場合にどう挽回すればよいか、これもすべて練習です。
全員が集合したらオリエンテーションからスタートです。2日間のスケジュールの確認、作業で気をつけること、評価シートに目を通し、作業に備えます。
ワーク① 野外炊事場のテント撤収
このワークのねらいは「段取り」です。大型のテントを限られた人数でどう安全に解体し、撤収していくかを全員で相談した上で作業に当たります。
館長より作業の説明を受け、作業開始です。まずはテントの下にある机や椅子を移動し、作業しやすいようにします。
続いて、前日まで雨が降っていたので、テントに溜まった水を取り除き、テントを移動させます。
テントのシートを外し、骨組みを解体し、種類ごとにわけてひもで結んでいきます。
体験して手順がわかったら、もう1つのテントは自分たちで作業します。
一番難航したのはテントをたたむことです。立方体の形をしているので、綺麗にたたむのには想像力が不可欠でした。
最後は机や椅子をもとの位置に戻し、掃き掃除をして終了です。
ワーク② 館外整備
グラウンドの倉庫の清掃、館外通路の側溝の清掃などを行います。ねらいは先ほどの段取りとあらたに「持久力」です。気温も高くなってきて力仕事が続くため、体力を消耗しやすいです。2時間、いかに体力を維持しながら一定のペースで働くことができるか、貴重な実践です。
グラウンドの倉庫では、まずは荷物の運び出し、どのように収納していくべきか、午前のテント撤収と同じで段取りも大切になります。
作業開始前と後では綺麗さが格段にあがりました。
永遠と続く側溝の掃除も持久戦でしたが、交代交代で作業を繰り返し...
青少年の家の清掃の方も感激する結果となり、参加者も満足でした。
履歴書のチェック
合計4時間のワークを終えた後は、履歴書のチェックです。事前に提出してもらった履歴書について、書き方の見本を渡し、まずはセルフチェック、そして、今回は特に履歴書に書かれている「自己アピール」の内容を掘り下げ、面接で述べる練習を行いました。どのようにアピールすればよいかをネットの情報も参考にしながら考えました。
【2日目】
早くに来た人は作業が始まるまでの間、昨日の履歴書の自己アピールについて内容をまとめていました。
ワーク③ 館内清掃
午前の2時間は館内清掃です。このワークのねらいは「気づき」です。普段の清掃の方の作業ではあまり行き届かない個所を自分で見つけて掃除をします。雑巾片手に、どのような箇所に汚れがたまっているかを考えながら行動します。観察力が問われます。
ワーク④ 体育館整備
最後のワークは体育館の倉庫の整理です。備品などをいったんフロアにすべて出し、処分するもの、他の場所へ搬出するもの、整理、清掃を行いました。今回のねらいは「素早さと丁寧さ」になります。このワークの後にバスケットのプログラムがすぐ行われるため、時間の遅れのないように手際よく作業に当たります。
最初に写真を撮っておくことで原状復帰する際、どこに何が置いてあったかを確認しやすくなります。
協力し合いながら手際よく備品を搬出します。床が傷つかないように気をつけて作業します。
予定より早くに作業が完了したため、最後は館外の周囲を回り、ごみ拾いをしました。
最後に館長より、ねぎらいのことばをいただきました。
さあ、待ちに待った手当の支給です。作業態度や精度によって減給が生じるため、メンバーもドキドキでした。いつの時代も手渡しは実感がわき、うれしいものです。
実際にワークをしてみることで、机上の学びとは違った自分の強み、苦手なことを具体的に理解できたと思います。継続生はまた学びの1年が始まります。大人社会に向けて、様々なことをクラスで学び、家庭や学校生活で実践しましょう。卒業生はぜひ、次の進路先でアルバイト等を通じて、経験を積み重ねてください。
最後に、今回も活動の趣旨を理解くださり、貴重な就労経験に全面的にご協力いただきました堺市立青少年の家のスタッフの皆様に感謝申し上げます。