大阪YMCAサポートクラス

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ソーシャルスキル&ホーストレーニング 佐世保

大阪YMCA発達支援事業部とさんりんしゃ(佐世保市)の協働プログラムを12月26日~28日の3日間、佐世保市で実施しました。大阪YMCAのソーシャルスキルトレーニング(以下、SST)のノウハウとさんりんしゃの乗馬技術がコラボした新しい取り組みです。

 

SSTの指導はハワイサマースクールのSSTチームでおなじみの大阪YMCAの加藤(左)とペ(右)、

 

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そして、乗馬指導はさんりんしゃの三輪理事長(左)と松尾さん(右)です。

 

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このプログラムは小学4年~6年生を対象に、中学校生活を見据えて対人関係やコミュニケーションなどの社会性を育む内容で、使用するSSTのワークシートはこのプログラムの参加者に合わせて準備されたオリジナルです。午前はワークシートを中心とした学び、午後は乗馬とヨガを通じて午前に学んだ内容を実践します。

また指導者がチームを組み、プログラムの内容や参加者の特性に合わせてアプローチの仕方を変えていくTA-SST(テイスト)を採用しています。

 

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参加した子どもたちの今回の目標としては、「柔軟性」「見通し・計画性」「理解力と表現力」「自信と自己肯定感の向上」「注意の持続」「試行錯誤とあきらめない気持ち」「コミュニケーション能力の向上」「感情や行動の調整」などがありました。学年や考える力、理解力や表現力、育った環境などは異なりますが、指導者は子ども一人ひとりのニーズを把握した上でねらいを設定するため、特別支援教育が目指すインクルージョンの世界がここにあります。

 

子どもたちは3日間、朝、さんりんしゃの施設に集合し、挨拶をして、1日の予定の確認を行います。スケジュール表には内容や注意事項、食事メニューに空欄があるため、指導者の話を聞き取って書いていく「聞き取り課題」を兼ねています。

 

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「聞く」というスキルは学校生活だけでなく、社会に出ても非常に重要な力です。視覚支援のある世界が当たり前ではない未来を想定し、3日間の課題の中に聞き取り課題を設け、話を聞くことの大切さも伝えていきます。

 

 

【アイスブレーキング】
ワークを始める前に必ず行ないます。スムーズにワークに入るための準備運動です。簡単なゲームや手遊びなどで頭や体を起こしていきます。

 

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【思考力ワーク】

SSTを学ぶ上でも、学んだ社会性を実生活で応用していくためにも、「考える力」が必要になります。柔軟な思考や見通し、試行錯誤、計画性、状況理解、規則やつながりの推理、情報の整理など、社会性の基礎となる能力は多岐にわたります。SSTに入る前にその力を高めるワークは必ず行います。

 

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できた人は先生を呼びチェックしてもらいますが、なかなかすんなりと正解にならない場合もあり…

 

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どうしてもわからない場合はどのタイミングで先生に聞けばよいか、わからなさをどう伝えればよいか、その点もSSTのねらいになっています。

 

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女子チームは「自己決定」も今回のねらいになっていたため、すべてのシートを並べ、自由に選択して決められた時間内に終わらせるという環境でも練習しました。どれができそうか、すぐに決まらない子どもたちも多く、少しの時間、首をかしげていました。

 

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【ソーシャルスキルワーク】

今回は特性やねらいを踏まえ、男女の2つのグループに分かれて学びました。
ワークシートはすべて子どもたちの課題に沿って作成され、その中で学んだ内容をゲームを通じて試してみることや、午後のヨガや乗馬の中でも実践しました。

 

たとえば、女子グループでは「自分に自信がない」「自分の気持ちを表現するのが苦手」「会話が続かない」など、他者とのコミュニケーションによる悩みについて、伝える必要性や自分に合った方法などをみんなで考えました。

 

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学んだあとで、伝えること、他者に聞くことをねらいとたゲームで練習していきます。

 

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男の子グループでは「他者の話を聞く」「自分の動きを調整する」「苦手な役割もこなす」など、自分の気持ちや行動面の調整が中心となる内容が多かったです。

 

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3日間、それぞれの苦手さに沿ってテーマを変えて学びを深めていきました。

 

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テーマによってはグループで話し合って意見をすり合わせる練習もしました。

 

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学んだ内容をもとにゲームをする時は、楽しいことはもちろんですが、みんなが知っている簡単なゲームに少しだけねらいに沿ってルールを細工することでSSTのゲームになります。これがSSTチームのノウハウです。

 

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3日間の学びの中で自分と向き合い、子どもたち同士でも交流を深めました。そのことで緊張や不安も軽減され、表情がとても豊かになっていくのがわかりました。昼食場所に移動する時は先ほどのゲームを振り返りながら笑みがこぼれていました。

 

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【昼食】

さんりんしゃでは生活介護や放課後等デイサービスなど、福祉に関する事業をたくさん手掛けているため、色々な人が施設の中にいます。そのため、昼食をもらいに行く際も自分の所属と名前、そして何をしに来たのかを調理師さんに伝える練習をしました。

 

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プログラム名が長くて覚えられなかった人、緊張して声が小さくなってしまう人、最初は色々ありました。しかし、他者がしていることをよく見ること、話を聞くことで上手に伝えられるようになってきました。

  

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1日目は比較的静かな昼食でしたが、3日目になると子どもたち同士の仲も深まり、とても温かい雰囲気になっていました。

 

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 返却する際も感謝の気持ちを込めて、「ごちそうさまでした。」のことばだけでなく、他に一言(例:「おいしくいただきました。」「○○がとてもおいしかったです」など)そえるように伝え、実践しました。

 

 

【ヨガ】

今回のプログラムにヨガを取り入れたねらいは体をほぐす準備体操として、そして見本と同じ動作を模倣するボディイメージの練習のためです。指導はヨガの国際ライセンスを持つペが担当です。

 

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最初は体の動かし方がぎこちなかった子どもたちも練習を重ねていき…

 

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子どもたちはみんなヨガが初めてでしたが、練習することでだんだんポーズがさまになってきました。

 

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指導者の見本をしっかり見て…

 

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「ほらっ!」っと、頑張って模倣していましいた。人の動きを観察する力、そして粘り強く練習し、真似をする力、どれもSSTに必要な力ばかりです。

 

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午後は外で乗馬とヨガを交互に練習しました。ヨガは9ポーズが描かれたヨガシートをもらいました。3日間でポーズを達成するため、子どもたちは猛練習しました。

 

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乗馬の合間にするヨガの練習でしたが、培った体の柔軟性やバランス、体幹などは乗馬練習でも、とても役立っていました。

 

 

【乗馬】

今回は乗馬競技の一種である軽乗(けいじょう)と呼ばれるアクロバット乗馬を行ないました。馬に乗りながらバランスを保ち手を離すことや体の向きを変えるなど、難しい内容が含まれています。そのため、指導者の話を聞くことや見本をよく見ること、自分の能力とよく相談して自己決定や相談をするスキルも求められてきます。

 

さんりんしゃの馬場は全天候型でナイターでも乗馬ができる設備が整っています。衛生面もとても意識しています。

 

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まずは準備運動として、調馬索(ちょうばさく)に沿ってみんなでペースを合わせてランニングです。内側の人はゆっくり、外側の人は速く、馬のペースに合わせて走ることで合わせることを意識します。

 

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慣れてきたら、調馬索をくぐり、一周走ってくるリレーをします。

 

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最初は小さめの馬で練習します。説明を聞き、怖さがありながらも挑戦していきます。

 

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最初は常足(なみあし)で馬の体温や振動を身体で感じていきます。

 

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慣れてきたら、馬が動いている中で体の向きを変える技にも挑戦です。

 

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これはかなり難しい技です。

 

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だんだんステップアップして、大きめの馬でも挑戦します。高さが変わるため、怖さも増しますが、指導者や馬を信じて頑張っていました。

 

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乗馬の後は、乗せてもらった感謝の気持ちを大切にして、馬の手入れをします。

 

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馬のボロ(ふん)の対応も最初は苦手な子もいました。しかし、SSTの中で「役割を最後まで果たす」ことの大切さを学ぶとともに、馬と触れ合う中で抵抗感が薄れてきて、自然と笑顔になっていました。

 

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このようなことを経験する中で馬との距離も縮まり、自然と馬と過ごすことが楽しくなっていきました。

 

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子どもたちの特性やペースに合わせて、安全に楽しく乗馬を指導してくださり、ありがとうございました。

 

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【振り返り】

毎日活動後に、今日の目標についてどこまで意識してできたかを自己評価するとともに、指導者からよかったこと、そして明日に向けて頑張ってほしい内容を伝えました。

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乗馬している時の自分の様子は客観視することが難しいため、iPadの動画を見ながら確認し、課題を見つけていきました。

 

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最後に3日間の集中SSTを終えた子どもたちには認定証として、このプログラムのオリジナルマグカップをプレゼントしました。これからの季節、ぜひ活用して時々、学んだ内容を思い出してください。

 

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中学校に向けて、自分の良さはもちろんですが、苦手な面とも向き合う3日間だったため、子どもたちは悩むことや考える場面が多かったように思います。しかし子どもたち同士でも支え合いながら楽しく学び合うことができ、充実した時間となりました。学んだことをぜひ、次に進むステージで少しでもいかしてほしいと願っています。

 

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このプログラムの趣旨をご理解下さり、一緒になって子どもたちを支え、送り出していただいた保護者ならびに施設職員の皆様、ありがとうございました。大阪とは違った地域でこのようなプログラムの中で子どもたちの笑顔をだくさん見ることができ、指導者一同も楽しい時間を過ごさせていただきました。またこのようなプログラムを開催できればと思います。3日間、ありがとうございました。