イベント
海の達人サポートキャンプ 総集編
7月22日(金)~24日(日)まで、YMCA阿南国際海洋センターにて「海の達人サポートキャンプ」を行いました。今年で夏の達人キャンプも5回目となり、小学4年生から高校1年生まで男女あわせて11人のメンバーが元気に参加しました。
今年のプログラムは海のスポーツをテーマにしているため、1日目の往路は時間短縮のため、大阪から高速バスで徳島駅に向かいました。大阪駅で集合の後、体調確認と荷物チェックを済ませ、高速バスに乗車。バスの中での時間はおよそ2時間30分。公共のバスのため、大きな声を出す事はできませんので、YMCAらしい工夫で過ごしました。
まずは自己紹介、グループの名前、そしてグループでの約束を筆談で決めました。プリントをセットしたボードをみんなに回しながらみんなへのメッセージや意見を書いていきます。
例年話し合いの中で決めていて、時間がかかることが多いのですが、筆談だと話題が逸れることが少なく、逸れた話をする事もないため、とてもスムーズに決まりました。「これはつかえる!」と目からうろこでした。
その他の時間、小学生はひそひそ話で過ごしたり、外の景色に心和ませていました。中学生は2日目にヨットを自分達だけで乗らないといけないため、そんなまったりムードはなく、しおりのお助け帳を見ながら座席の取っ手を使ってロープワークの練習です。
うまくできるようになるとうれしさから、ありとあらゆる縄を探し、結び始めます。中には・・・
自分の靴ひもでためすメンバーも。お助け帳を参考にしながら「自分で調べて実行する」ことが達人キャンプの経験者は習慣化されてきました。
さて、そんな過ごし方であっという間に徳島駅に到着です。ここからはローカル線で阿南駅を目指します。達人キャンプは自分達で切符を購入して管理することも目標としています。なので、各自が運賃表を参考に切符を買いに行きます。
友達と相談する子もいて、これぞ助け合いですね。購入した切符を持ってさっそく改札に・・・
と思ったら、JR徳島駅は改札に通すのではなく、印を押してもらうシステムです。大阪ではなかなか見ない光景に初めてのメンバーは「これだけ?」とびっくりした様子。これも社会勉強ですよね。なくさないように管理して下さいね。
そんなレトロなシステムだから電車も・・・
かわいい1両編成。もちろんワンマン。向こうの方は「きしゃ」と言いますね。大阪駅で新快速12両など見ていると、「えっ?!」となりますよね。カタコト揺られること40分、阿南駅に到着です。あとはYMCAのマイクロバスに乗って阿南国際海洋センターへ。
1時過ぎにはセンターに到着し、入所式で諸注意を聞き、お弁当を食べました。
今回、阿南でサポートクラスを担当してくださる「ヒロリーダー」です。とてもさわやかでソフトなリーダーなので、子ども達もすぐになじんでいきました。
さあ、お腹もいっぱいになったので、いざ海へ! まずはみんなの大好きなカヤックです。
海に入る前には色々準備があります。阿南では安全のため、海岸や海に入る際にはライフジャケットを着用します。これなら海に入っても浮くことができます。
しっかり着用できたか、チェックします。そして海の中での安全は子ども達同士でも守り合うことが大切なので、バディを組みます。
パートナーがいるかどうか、海に入る前とあがった時にすぐ確認します。このバディはすばやい動きが子ども達に求められます。
バディの後は、海岸に下りてカヤックの説明を受け、海へ繰り出します。
3日目にもカヤックをするので、今日は感覚をつかむこと、そして自分の意思で動き回れることが目標です。波に流されても目的地にたどり着けることや、転覆しても元に戻ること、楽しさの中に難しさもありますが、試行錯誤しながら頑張っていました。
カヤック終了後はお風呂に入り、夕食準備が始まります。夕食のメニューはみんなで話し合った結果、「カレーライス!」ではなく、「カレーうどん」でした。はたしてうまく作れるか・・・
マキ割りのナタの使い方は経験者が教えてくれます。これは中学3年生が中学1年生に教えている場面。教える方も、上手な見本が求められるので、自分自身のスキルアップにつながります。
ここでもしおりのお助け帳を見ながら手順を確認しています。うまく火がつくかな・・・
こちらは野菜を切って、カレーの準備です。みんながそれぞれ役割を分担することで1つの料理が完成します。
出来上がりは・・・
おいしそうなカレーうどんが出来上がりました。
焚き火を眺めながらのカレーうどん、辛いけどおいしかったですね。
後片付けも最後まで行いました。片づけが終わると休憩がてら、みんなで少しの時間、夜空を眺めました。大阪では見られない数の星が見え、感動でした。その後、花火をして部屋で今日の振り返りと明日のスケジュールの確認をしました。
中学生クラスはこの後、ロープワークのテストです。できるかな・・・
バッチリみたいですね。明日が楽しみです。今日1日、お疲れ様でした。また明日に・・・
2日目、起床して朝の準備を済ませ、朝の集いに参加です。眠たいですが、体を起こすため、歌を歌い、ラジオ体操をしました。
その後、野外料理場で朝食作りです。メニューはアウトドアの定番、牛乳パックでホットドッグを作る「カートンドッグ」です。ボイルした具材をパンにはさみ、アルミホイルでくるんだら、牛乳パックへ。
早く焼けないかな・・・
じゃーん!! 完成。こんなにもホットになるんです。おいしくいただきました。
お腹が満たされたら、午前中の海のプログラムへ。達人キャンプ始まって以来の「ヨット(ダックリン)」にチャレンジです。
ヨットの道具は重たく、そして長さがあるのでみんなで協力して用意します。
練習したロープワークは予習していたから、説明時も「そうそう」と少し心に余裕を持って聞くことができます。
「話を聞く」姿勢も真剣ですね。舵の操作も加わり、頭の中は満杯状態に・・・
完成したヨットは・・・
これだけ大きくなります。そして海へ。風が適度にあるので、上手に風を捉えることができるかな・・・
出航! 小学生はリーダと一緒に、中学生は2人組で乗りました。舵とセールの操作、役割を分担して目的地を目指します。風を捉えることができるとスピードもでて、気持ちよかったです。
海の上で風と格闘するヨットもありましたが、徐々に操作に慣れていきました。
午前のプログラムも終わり、昼食を食堂でいただき、休憩を挟んで午後は無人島へビッグカヌーで向かいます。大きなカヌーに14名が乗り込み、息を合わせてこぐとかなりのスピードがでました。
今回はカヌーで上陸ではなく、無人島近くの海でアンカーをうち、そこから海に飛び込んで泳いで上陸しました。飛込み方は様々で、「トリプルアクセル!」なども飛び出しました。
無人島ではオーシャンスイムをしたり、船から飛び込むことにはまるメンバーも。
ちょっとドラマ仕立て 「船でやられたシーン」
「うわぁ~」と言いながら、楽しんでいました。
無人島に来た理由はもう1つあり、昨年、無人島で1泊したグループがタイムカプセルとして手紙を置いてきたので、それを発掘するためでもありました。
隠した場所を丹念に探してみると・・・
ありました!! 中身はどうかなぁ・・・
きれいに保管されていてホッとしました。昨年のメンバーに渡して思い出に浸りました。
無人島から帰ってきたらお風呂に入り、夕食準備です。夕食は関西らしく「海鮮お好み焼き」です。
煙や熱さと格闘しながら、焼き上げました。食べる分だけ一枚一枚作るのは火力の調整も難しく、思いのほか時間を要しました。最後に私からじゃがバターを振舞いましたが、やはり人の作ったものは手軽に食べられるため、子ども達が殺到・・・。でも楽しい時間でした。
夕食後は暗闇の中の阿南を探検し、夜光虫を観察しました。
ほわぁっと水面でひかる夜光虫に子ども達はしーんと静まり返りながら見入っていました。
その後、今日の振り返りと明日のスケジュールの確認をして就寝・・・。
3日目、最終日です。朝の集いに参加し、食堂で朝食を食べると短い時間ですが海のプログラムへ。カヤック2回目はゲームのように2艇が横にくっつきながら漕ぐことや全員のカヤックを横一列にくっつけるなどをしました。波や風に左右されながら互いが互いに要望するため、なかなか思い通りにはいきません。
「もっとよって!」
「そっちこそ、もっとよって」
自分のことばかり考えると成功しませんね。サポートクラスのメンバーにとって、「他のメンバーを思いやる」というとてもよい練習になりました。
海のプログラムもすべて終わり、退所式を済ませると再び徳島へ。みんなが待ちに待った徳島ラーメンタイムです。
野外料理では作るのに1時間半以上かかりますが、普段の外食では注文して数十分で食事がでてきます。そんな何気ないことにもキャンプをしていると感動し、ありがたいと感謝の気持ちになります。「おいしい!」と口々に言いながら食べていました。
ご褒美タイムは徳島ラーメンともう1つ、お土産タイムです。このキャンプでは単独行動は厳禁で必ず「2人以上で行動する」ことを約束で入れています。メンバー同士で誘い合って買い物していました。
買い物1番人気は・・・、「徳島ラーメン」でした。先ほどの印象が強かったのですね。
買い物後、徳島YMCAでキャンプの振り返りをして、高速バスで大阪に帰りました。
SST(ソーシャルスキルトレーニング)やLST(ライフスキルトレーニング)は学びと実践、そしてフィードバックをくり返す中で上達していきます。このキャンプでは楽しさはもちろんですが、子ども達に個々にあわせて負荷もかけます。その中でどうしたらよいかを考え実行することが経験となります。複数回、キャンプを経験しているメンバーはその負荷にも慣れ、悩みながらも行動し、自分達のスキルを磨いています。難しい時やできない時、立ち止まるのではなく、「調べる」「聞く」「相談する」などのスキルを使えることで、目の前の困難を乗りこえることもできてきます。
高校生の参加者にはキャンプ生活だけでなく、小学生や中学生への接し方やフォローの仕方、別メニューでの食事作りに挑戦してもらいました。リーダーの接し方も責任を持たせる関わり方になりました。それでも「次回も来ます」ということばが出てきたのは、また違った学びと充実感があったからではないかと思います。
次は冬の里山キャンプになります。リーダー一同、楽しみにしています。またのご参加をお待ちしています。
最後に、2泊3日のキャンプの開催にあたり、参加メンバーに丁寧な対応をしていただきました阿南国際海洋センターのヒロリーダーをはじめ、スタッフの皆様にも厚くお礼申し上げます。