大阪YMCAサポートクラス

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イベント

里山の達人サポートキャンプ 総集編

12月25日(土)~27日(月)まで今年で3回目となる里山の達人サポートキャンプを大阪府泉南市にあるYMCA施設「紀泉わいわい村」にて行いました。このキャンプは古民家を利用しての集団生活を通じて生活力(ライフスキル)や自主性を意識した小学4年以上を対象としたキャンプです。プログラムの一部をキャンプ前に行うプレキャンプを通じて子ども達が話し合って決めるのもその自主性を意識した取り組みです。

 

今回は関西の3つのYMCA(大阪・神戸・奈良)のサポートクラスが同時期にキャンプを実施し、総勢40名弱のメンバーが参加しました。大阪YMCAも定員を上回る15名のメンバーが参加し、ライフスキルだけでなく、地域を超えた交流もねらいとしています。

 

また、サポートクラスが実施する夏・冬の達人キャンプでは保護者の方にこのキャンプでどのような事を期待されているか、事前にアンケートを実施します。保護者の方が期待される内容としては「身辺整理」「仲間との協力」「最後までやり遂げてほしい」「考えて行動してほしい」「生活の自立」など、ソーシャルスキルやライフスキルの内容が多くありました。そのニーズを参考にスタッフが子ども達にこのキャンプでの目標設定をします。

 

今回のキャンプでは達人キャンプ経験者が多い「ベテラン組」と、初めてキャンプに参加するメンバーの多い「6号棟グループ」に分かれて生活をしました。

 

さあ、さっそくキャンプ開始です。クリスマスの興奮が冷めやらぬ早朝8時、みんな元気に大阪駅に集合しました。達人キャンプでは生活力を意識しているため、出発時には自分達で運賃表を確認して切符を購入します。ICカードの時代、なかなか切符の購入がわからないメンバーもいましたが、子ども達は説明時に切符の買い方を聞いていたので小学生も小人料金を間違えずに買うことができました。大阪環状線ホームから紀州路快速に乗車します。クリスマス寒波ということもあり、岸和田を過ぎたあたりから雪がチラチラ舞い始めました。それを見た子ども達は大はしゃぎ! さらに日根野駅で関空快速と紀州路快速が切り離される作業に・・・

電車の中

みんな目が釘づけ! 鉄道が大好きな子が多いため、当然の話かも知れませんね。

 

さあ、和泉砂川の駅に到着し、タクシーを乗り継ぎ、紀泉わいわい村に到着です。例年であれば古民家の縁側で日向ぼっこをしながらグループでお弁当を食べるのですが、この日は一番の冷え込みのため、研修棟で3つのYMCAが集まってわいわい昼食をとりました。

昼食

まずは腹ごしらえだ! たくさん食べておかないとね。

昼食の時間でだいぶグループが打ち解けあってきました。

 

さあ、お腹もいっぱいになったから宿泊する棟に移動するぞ!

移動

自分の荷物は自分で運ぶ!これも自立の一歩ですよね。

 

まずは宿泊棟で入所式。この建物の注意点を聞いたり、食事のアドバイスを受けました。

入所式

紀泉スタッフ:「以上で説明を終わりますが、質問は??」

結構子ども達からは気になったことについて質問がたくさん出ました。それでも気持ちよく丁寧に答えてくださって紀泉のスタッフのモウモウリーダー、ありがとうございます。けっこうみんな真剣に聞いていましたね。いよいよこれから、ここで生活が始まるよ!

 

最初はグループでミーティングです。互いの自己紹介やグループの役割(班長・副班長・伝達隊・運び隊・サポート隊など)やみんなが気持よく生活するための守るべき約束などを話し合います。ベテラン組は何度か経験しているため、特にスタッフが入らなくても率先してしおりを持参し、中学生を中心に話し合いを進めていました。さすが!! 6号棟グループはスタッフと一緒に役割や約束の説明を受けながらじっくり決めましたね。

最初のMTG

班長:「グループの約束だけど、『嫌なことは言わない』について、賛成の人?」
他のメンバー:「はーい!」
班長:「じゃあ決まり。しおりに書いて」

 

こんな風に普段サポートクラスで行っている話し合いが実践で練習できるところがキャンプのよさですね。

 

話し合いも終わったところで、クラフトの始まり始まり~。今回は枝を使った手作り鉛筆を作ります。まず、枝にキリで穴をあけ、そこに芯を挿入します。そしたらポケットナイフの日本版「肥後守(ひごのかみ)」で鉛筆の形に削っていきます。

クラフト1

右手と左手を上手に役割交代しながら・・・。地道な作業に「疲れたー」「手が痛い」と言う子ども達も・・・。忍耐が問われるプログラムです。でも芯が見えてくると、うれしくなり再びやる気がみなぎってくるから不思議ですね。

 

クラフト2

ほら! こんな風にオリジナルの鉛筆が完成! やったね!

 

中学生は・・・

クラフト3

鉛筆の側面を器用に削って模様まで施していました。さすが!!

 

 

鉛筆も完成したところで、お風呂(五右衛門風呂)と夕食のカレー鍋作りの開始です。

役割をご飯を炊く・カレー鍋を作る・五右衛門風呂を炊くの3グループに分かれて作業開始。

ご飯

水加減はこれくらいでいいかなぁ・・・。お助け帳を見ながら水の量を調整します。
B君:「確か、第二関節までだったよね・・・」
C君:「おれの指でもやってみようか?」

 

こちらは薪割りです。細い木がないと火つけができないですからね。薪わり

約束を守ってナタも上手に使えていますね。

 

こちらは五右衛門風呂ですね。薪が組めたところで点火!

お風呂2

じゃんじゃん薪をくべて、お風呂を沸かすぞ! 火吹き竹を上手に使ってね。

 

こちらはご飯ですね。

ご飯2

ご飯の炊けるいい香りがしてきました。昔はこんな風だったんですよね。すごいなぁ。

 

 

みんなの協力があり、ご飯もカレー鍋も上手にできました。がんばりましたね。
お風呂はご飯の準備中に交替で入りました。五右衛門風呂はみんなの家と違ってシャワーがありません。湯船の湯を少しずつ使っては水を足してお湯を沸かす、その作業の繰り返しです。お湯を大切に使わないと他の人が入る時にお湯がなくなります。後の人を思って行動するよい練習にもなりましたね。みんなが大切に使ってくれたため、スタッフが入る時も気持ち良く入れました!

 

それではみんなで「いただきまーす」

夕食

寒い体にお鍋のあったかさがしみわたる~! いろりで煮込まれたカレー鍋、お肉も柔らかくて最高でした。〆はリゾットをしました。満腹満足!

 

片付けもみんなで作業を分担して行います。

片付け1

 

片付け2

何かを作る時はみんなモチベーションも高く、一致団結して取り組みますが、片づけはそうはいきません。キャンプ経験が少ないと途中で離脱してしまう事もありますが、経験年数が増えてくると片付けまでセットで1つのプログラムが終了するという意識が高くなってきます。また早く片付けるとそれだけ自由な時間も作ることができます。「最後まで取り組むことができる」という本当の意味での最後は「片づけ」ですね。家の中も外もお湯は出ませんが、協力して洗い物を片付けていきました。寒い中、がんばりましたね。

 

さあ、お待ちかねの3つのYMCA合同のクリスマス会です。各YMCAで1つずつゲームを出し合いました。大阪YMCAはベテラン組がゲームの内容を話し合い、歌を歌う間ボールをまわし合う「バクダンゲーム」にしました。説明の台本も作り、上手に司会進行で来ていましたね。

 

長い1日もようやく終わりが近づきました。クリスマス会後はグループで今日の振り返りと明日の予定の確認をしおりを見ながら行いました。

振り返り

このキャンプではしおりをいろいろな場所で活用するため、予定もしおりを見て一緒に確認します。

 

ミーティングを終えたら就寝準備です。敷布団に掛け布団、そしてシーツとやることはたくさんあります。

シーツ

集団生活の経験が増えてくると「自分のだけ」から「みんなの分」という意識が大切になってきます。この意識は学年によってもバラツキが見られました。

 

宿泊している人数分、みんなで取り組むと早く終わり・・・

ウノ

こんなことができる時間も作れるんですよね。これが子ども達の活動のモチベーションにもなっています。就寝時間までの自由時間、修学旅行のような気分で子ども達は楽しんでいました。

 

さあ、22時になりました。おやすみなさーい!

就寝

1日、お疲れさまでした。明日も楽しい1日になるといいですね。

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 2日目、6時30分に起床して身支度を整えて、早朝散歩と朝の掃除が始まります。

掃除

荷物整理

バッグはすみにかためて、チャックもしめておかないとね。荷物の管理だけでなく、整理整頓も意識します。

 

朝食準備はご飯を炊くこと、味噌汁を作ること、魚を焼くことです。

朝食準備

魚焼き

担当同士で協力して炭に火をおこして七輪で焼いていきます。吹く息が」強すぎると焦げてしまうから気をつけましょうね。

 

みんなが揃ったら「いただきます!」 

朝食

規則正しい生活も成長の土台です。みんな姿勢よく食べています。いろりを囲んで食べる朝食、ほがらかでよい朝ですね。

 

さあ、片づけも済んだところで午前のプログラム「昔遊び」です。その前に紀泉わいわい村から「大根を抜きませんか?」とお誘いを受けてので、畑に直行! 

大根貫

抜き方を教わり、目星をつけて、よいしょっと! みんな1本ずつ抜いてお土産に持って帰りました。

 

そのあと、広場で昔遊びで何をするかを話し合いました。意見としてドッヂボールが多く、スタッフは「昔遊び?」と思いましたが、学校では旬なスポーツですよね。普段、学校では仲間に入ることが苦手な子もいると思います。なので、みんなが楽しいと思えるならと、ドッヂボールをしてそのあと、鬼ごっこをしました。

帯ごっこ

これは鬼ごっこです。中学生がスタッフの酒井(女性)に勝負を挑んでいました。運動神経のよい酒井も負けじと逃げては追いかけ、周りのみんなが声援を送る、そんな楽しい時間となりました。筋肉痛が出ませんように・・・。

 

お昼はダッヂオーブンを使った鳥の蒸し焼きとその汁で作ったラーメンです。

ダッヂ1

まずは薪で火をおこして炭にも火つけしていきます。

 

ダッヂ2

その炭をダッヂオーブンの下に敷き詰め、ダッヂオーブンを置き、蓋をしたら、その上にも炭を置いていきます。なかなか熱い作業です。

 

ダッヂ3

こうして30分ほど待つと、蓋の隙間から湯気が出てきます。さらに野菜も投入して待つと・・・

 

ダッヂ4

できあがり~ 鶏肉も火が通り、野菜もしんなりしておいしそう。その汁を使ってラーメンも作ると・・・

 

ラーメン

じゃーん! 鳥のエキスがたっぷり入ったラーメンの完成です。子ども達は鳥肉よりラーメンといった雰囲気でしたが、みんなでいただきますをして全部平らげました。

 

お昼からはスタッフによる「秘密プログラム」です。サポートクラスなので少しSST(ソーシャルスキルトレーニング)を取り入れたクロスワード大作戦です。子ども達は4つのグループになり、クロスワードをとく手掛かりとなるカードを紀泉わいわい村の中を散策して見つけます。手がかりのカードのありかがわからないときは村にいる大人の人に聞くことができます。しかし、大人の人は仕事をしていることもあるため、どう話しかけたらよいか、今話しかけてもよいのかを考えてから聞くように伝えました。クロスワードが全部そろうとある文字が浮かび上がり、ゴールの場所がわかるという流れです。

秘密プログラム1

C君:「あった、あったよ。これだ。なになに・・・、夢を食べる動物?」
Dさん:「あっ、バクだ!」

 

こちらは紀泉わいわい村のスタッフに情報を聞く場面・・・

秘密プログラム2

E君:「あの・・・、それ・・・、えっと・・・」
スタッフ:「このカード? このカードが何か?」
E君:「だから、えっと、それ・・・」
みんな徐々に下を向き始めます。リーダーがヘルプしながら頑張って話すことができましたね。

なかなか想いをマナーに沿って伝えるって難しいですね。サポートクラスではできていても、違う環境ではまた違った難しさがあります。このような実践を取り入れることができるのも特別活動ならではであり、サポートクラス特有のプログラムでもあります。

 

秘密プログラムも終わったところで、昨日と同じくお風呂の準備と夕食の準備です。今夜は3つのYMCAでデザート交換会があるため、6号棟のグループの人たちは蒸しケーキも作ってくれました。
子ども達も段取りがわかってきたこともあり、作業がスムーズになってきました。キャンプは経験ですね。

 

今夜はバーベキュー!

バーベキュー

この材料を切るのも、炭をおこすのも、子ども達がお助け帳を参考にしながら自分達で準備しました。
「1枚焼いて食べてから次の1枚を焼く」という達人ルールのもと、たくさんお肉や野菜を食べましたね。満足満足!

 

 夜はナイトハイクor肝試しグループに分かれて、夜の村を歩き、ゴールでゲットした「デザート券」で他のYMCAから貰ったデザートと交換して食べました。久々のあまーいデザートにみんな笑顔でした。
その後、今日の振り返りと明日の予定の確認、就寝準備をしておやすみなさい。

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3日目、今日がキャンプ最終日です。早朝5時30分、スタッフがいろりに火をつけるため起床し、外に出てみると・・・

雪景色1

今年初めての紀泉わいわい村の雪景色です。積りました!! この風景にスタッフは感動してしまいました。何か遠い記憶がよみがえるかのように少しの時間、感傷に浸っていました。

 

建物もほら!

雪景色2

風情があっていいと思いませんか? 私、こういうの大好きなんです! そうこうしているうちに子ども達も起きてきて早朝散歩で・・・

 

雪合戦

雪合戦をして遊んでしまいました! 寒いけど、楽しいー!

 

雪合戦で体を温めたあと、朝ごはんを済ませ、荷物も宿から運びだし、チェックアウト完了。
今日は手作りピザにチャレンジです。生地から手でこねていき、発酵させ石窯で焼くという本格的な体験です。

達人キャンプ3年目になると・・・

ピザ1

ピザ職人顔負けに上手に円形にできるようになります。これに各々がトッピングをしていき・・・

 

ピザ2

顔の模様や耳をつけるなど、個性あふれるピザがどんどん出来上がりました。もちろんトッピングの材料も子ども達で野菜を切りました。ベテラン組は誰がいちばん薄く玉ねぎをスライスできるか、選手権も行っていたほどです。

 

ピザ3

 

石窯で焼いたアツアツのピザを半分は自分たちで食べ、半分は他のYMCAにおすそ分けしました。もちろん他のYMCAからもおすそ分けをもらい、一度にいろいろな料理を食べることができました!

 

昼食後は片付けをし、退所式をすませ、タクシーに乗って駅まで移動し、電車で保護者の方が待つ大阪へと向かいました。

 

初めて参加した子ども達はこのキャンプの流れを知ることや、体験することを目的に生活を共にしました。きっと次年度、参加することで流れがよくわかり、この体験が貴重な経験へとつながり、生活力へのアプローチが始まるのではないかと思います。
複数キャンプに参加している子ども達にとっては、自分達で生活することの意味をよく理解した上でプログラムに取り組めていたように思います。だからこそ自分の力でできた時の喜びが大きかったことと思います。そこまで行くには1回では難しく、経験を増すことで近づくのではないかと実感しています。キャンプを通じて大きな変化があった子は数多く、数年前までできなかったことが今では上手にできるようになったというエピソードが多くあります。今回も小学生が火つけがうまくいかずにあきらめようとしたとき、「火つけマスターに名乗りをあげる人は?」と聞くと、数人の中学生が「はい!」と手をあげ、鎮火した火から見事激しい炎へと導きました。3年前は火つけはまだうまくできていなかったのに・・・と、その成長に心が熱くなりました。火つけができることに意味があるのではなく、状況把握や段取りを考えること(プログラミング)、適切な知識や経験、すべてが総括されてできる業です。これはいろいろな場面でも必要なベースとなるスキルです。

 

紀泉わいわい村でのキャンプも3回目を迎え、ようやく生活力を意識したキャンプができてきたことをうれしく思います。今後も同じ場所でも通常のサポートクラスではできないプログラムを取り入れ、進化し続けたいと思います、ご参加、ご理解いただきました保護者の皆様、ありがとうございました。また無理をたくさんお願いしました紀泉わいわい村のスタッフの皆様、ご協力感謝申し上げます。