お知らせ

三校合同講演会~教育を共に考える集い~

 

毎年大阪YMCAの高校が三校合同で行う講演会を、今年も実施しました。

今回は、NPO法人青少年自立支援施設 淡路プラッツ代表の田中俊英さんから、「子ども・若者問題の新しい局面~ひきこもり・不登校・中退~」というテーマでお話をいただきました。

 

 

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引きこもりの大きな原因の1つが高校中退。中学校と高校の連携が取れておらず、高校中退の9割が高校1年生でおきています。高校に進学しても、中学のときの問題が解決できずに不登校になり、中退してしまいます。最近の若者は、若者同士で悩みが言えず、弱みを見せると友人でいられなくなることがあるという不安を抱えています。

 

引きこもりにも段階がありますが、その中でも親子間の断絶が見られる時期に大切なことは、本人が一番気にしている話題には触れないこと。1つ目は、仕事・学校・将来のことについて。学校に行きなさい、仕事を見つけなさいという話題は、相当なプレッシャーになり、関係をより悪くしてしまいます。2つ目は、親の健康問題など。親が死んだらどうするのかや、後2年で退職するのに・・・という話題は、本人がもともと一番不安に思い、気にしていること。それらを避けることで、安心できる環境を整えていくことが大切です。

 

また、ある一定時期には、社会的な規範・規律などからある程度自由な「変な大人」との出会いが有効。不登校や引きこもりの子どもたちは、本来とても真面目です。学校に行かなければいけない、働かなければいけないという社会規範にがんじがらめにされています。それらができないことから、自分自身に一番責められてしまう。そんな彼らがホッとリラックスできるのが、社会の枠にはまらない生き方をしている大人やちょっと変わった適当な大人。「こんな生き方もあるんだ」と思えることで、捉われていた心が救われます。

 

彼らが社会に戻るためには、ゆっくりゆっくり、小さな失敗体験をたくさん積むことが大切。大きな失敗体験をしてしまうと、また崩れて、立ち直るまでに時間がかかります。まずは居場所が必要ですが、ただ居場所があるだけではストレスを抱えて疲れてしまう。疲れたことやしんどさ、失敗を聞いてもらうカウンセリングや、こうしてみよう、こんな方法があるよとアドバイスをしてくれるコンサルティングの場も同時に必要となります。

 

不安や心配を抱えている子どもたちの心に寄り添った、田中さんの経験から、子どもたちと関わっていく上で重要なヒントをたくさんいただきました。最後に田中さんは、脳出血という大きな病気を経験したことにより、「生きているだけで意味がある。同じ空間にいて、生が交差することにより、関わりが生まれる。瞬間を生きることの重要性を感じています。」と、命のある事の意味を伝えてくれました。

 

講演会の後には、参加していただいたフリースクールや、不登校支援のNPO法人の方々との交流の場を持ちました。私たちが繋がることで、行き場のない若者たちへ、救済の手がより速く、適切に提供できるようになることを確認し、今後も関係団体と連携を深めて行けるようにと心に留めた1日でした。

 

 

 

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<参加者の声>

     引きこもりの段階についてよく理解できました。20数年以上前息子が社会体育学科で学びましたので、久しぶりにYMCAの雰囲気を味あわせていただきました。ありがとうございました。

     不登校・引きこもり支援を使い分ける必要があったり、うまく利用することがコツであったり、様ざまな(視野を広げるための)情報を聞くことができて本当に良かった。フリースクール展示もよかったです。

     気さくなおしゃべりで聞きやすかったです。自分はサラリーマンで、頭が固いが、努力して?変な大人の要素を取り入れる必要があるのかなと思った。

     親がしてはいけない要点、とても参考になりました。何気なく声掛けしていたことが、子どもにとってきつい言葉だったのだと反省しました。講演会聞けて良かったです。