A very Merry Christmas and a Happy new year!

年末が近づき、街がクリスマスカラーになると、また今年も厳しい季節がやって来ることを実感します。サンタさんを楽しみにしているこどもたちの様子にほっこりし、クリスマスパーティーのことを考えてワクワクしている生徒たちの様子に笑みが溢れます。それと同時に、この寒い冬を路上ですごし、厳しさの中で新しい年を迎えられる方々がいる事を覚えます。表コミでは、クリスマスの時期に毎年釜ヶ崎に出向き、野宿をされている方々へのクリスマスプレゼント作りと、炊き出しに参加しています。どんな状況下にいる人にも、同じように神様の祝福があることを願い、クリスマスだからこそ、弱い立場に置かれている人に目を向けて、命の温もりや奇跡を感じて欲しいという思いで続けています。

私自身、3年前まで毎週平日木曜日の夜に夜まわりをしていました。仕事終わりに自転車で釜ヶ崎まで行き、路上で寝ている方のお話を伺い、肩をかせることがあれば手伝い、必要であれば医療につないだり、家まで送って帰ったり。厳しい状況下にいる、人生の先輩方と触れ合う機会から、多くの学びを得ました。野宿をされる理由は様々ですが、苦しい生活環境の中でも「迷惑をかけたくない」「自立したい」と毎日朝早くから働かれている方が多くいました。日雇い労働者は搾取され、保証されず、人間らしい生活を奪われ、寒さの中で震えています。立派な建物や綺麗な道路が整備されますが、その建設に関わった人達は路上で眠るのです。たばこの火を押されたと、火傷の後を見せてくださったこと。雨の日は傘で叩かれるから怖いと仰っていたこと。今でも思い出す度に胸がキュッとなります。

釜ヶ崎の地域の中にある「こどもの里」では、こども達の野宿者への偏見を変えるために1月から3月頭にかけてこども夜まわりを行なっています。こどもたちが、準備したおにぎりとお味噌汁を持って野宿をされている方々に声かけをしてまわるのです。夜まわりの前には必ず学習会をし、地域の歴史や、なぜ野宿を余儀無くされている方々がいるのかを学びます。「おっちゃん何で外で寝なあかんの?」「おっちゃんも僕と一緒でお母さんから生まれてきたんやろ?」これは、初めて路上生活者と話をして"同じ命なのになぜ?"と感じた幼児の言葉です。なぜでしょうか。同じ命なのになぜ、暖かい布団の中で安心して眠りにつける人と、寒さと恐怖の中で縮こまっている人がいるのでしょうか。YMCAでは、その「なぜ」を知り、行動できる機会を持つ事で、社会を知り、多様な人と出会って欲しいと思っています。

最近、3歳になる娘が「いのちだよ。大事だよ。」と言うようになりました。ある映画の一場面で、"虐げられている人たち"が上流階級のパーティーに参加しようとして締め出されたところを見て、娘が「入れてもらえなかったね。何でなん?」と理解ができなかった事がきっかけでした。「みんな同じ大切な命なんだよ。でも、違うからって"嫌だ""一緒にいたくない"って言う人がいるの。あかんよね。悲しいよね。」と話したことから、娘は「命は大事」という部分が入り、気に入って使ってくれています。きっと、それを言うと私たちが喜ぶので、深い意味も分からず使っているのだと思います。それでも、私たち大人は、差別や偏見、排除にNoと言い、どんな命も大切だと伝え続けていく必要があると感じています。自分も相手も大切にする。表コミが1番大切にしている事です。

どうぞ皆さま、温かく、幸せなクリスマスをお迎えください。そして、世界中の様々な環境下に置かれている人に、心を寄せてください。YMCAでは毎年、隣の人 のチカラになれるようにと、クリスマス献金を実施しています。先日、生徒達がとても頑張った「とさぼりカーニバル」の売上金も全て、このクリスマス献金にしています。表コミ生も、このクリスマス献金を受けて、馬と遊ぼうのプログラムや、こども食堂の活動が出来ています。クリスマス献金はその他にも、支援が必要な地域へのプログラムや活動にあてられ、誰かの豊かな体験や経験を支えています。YMCAの活動にご賛同いただける方は是非、ご協力ください。いつも表コミを支え、より良い教育のためにご意見・ご協力くださる保護者の皆さまに、感謝と尊敬の念と、とびきりの愛を込めて。

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A very Merry Christmas and a Happy new year!

学科長 西村麻衣