「1通のメール」

子どものイキイキとした姿を見て感無量でした。

卒業式の翌朝、一人の保護者から長いメールが届きました。時刻は2:58am。「どうしても気持ちを届けたくて夜中に夢中で打ちました」とのこと。ご本人の了解を得て、一部紹介いたします。

『昨日は素晴らしい卒業式をありがとうございました。
あんなに温かい式は、初めてでした。
先生方一人ひとりのメッセージに対して、感謝の気持ちでいっぱいです。
「いつでも帰っておいで」と言ってくださったことは、きっと、子どもたちの心の支えになると思います。
振り返れば、子どもが不登校になり始めた頃、私自身が、目立ちたがりで、人前で話すことが大好きだった性格もあり、子どもの気持ちを理解する事がなかなかできない親でした。
子どもの気持ちよりも、近所の目とか、世間体を考えていました。
すぐにまた学校に行くだろうと安易に考えていたのに、私もだんだんと追い詰められた気持ちになっていきました。

(中略)

仲間はずれにされた事もあり、小学校・中学校ともに、暗くて、おとなしくて、クラスの中で存在感のない子どもでした。
小学校4年の時に、包丁を持って死のうと思ったと子どもから聞いて、がく然とした事があります。中学1年の終わりからは、全く学校に行けなくなりました。
でも、今思うと、子どもを守る方法のひとつなんですよね。
学校に行って欲しいという親の気持ちは分かります。
でも、その前に、子どもには、とにかく生きて欲しい。行きたくなければ、学校なんか行かなくてもいいんだよ。でも、自分で命を絶つことだけは、絶対にやめて欲しい。
その気持ちをぜひ子どもに伝えてあげて欲しいと思います。
子どもの不登校によって、私もずいぶん勉強になりました。

(中略)

子どもが本当に学校に行きたくない時期と、なんとかしなくちゃいけない・・・でも、やっぱり学校には行けないという時期、つまり、「行きたくない時期」と「行きたくても行けない時期」を、決して見誤ってはいけないということです。
表コミは、後者の時期にはピッタリのサポート体制のある学校だと思います。
でも、行きたくない時期に無理に行かせようと思っても、それは意味がないと思います。
周りがどんなにサポートをしようと思っても、子ども本人の意思がなければうまくいかないと思います。
親の都合で考えるのではなく、子どもの一番最適な時期を考えてあげてほしいと思います。
今、教育のありかたが問われています。
理想の教育とは、今の表コミのやり方が基本になっているのではないかと私は思います。
うちには、○○の下にも姉妹がいます。下の子は、不登校ではありませんが、表コミのような理念を持った学校で学ばせてやれたらな・・・と思います。
一般の高校でも、自分を大切にし、他人に優しくするという教育をしてもらえないかと願うばかりです。

(中略)

話はずいぶんそれてしまいましたが、本当に表コミの先生方にはお世話になりました。
暗くておとなしかった○○が、実は、こんなにおしゃべりで明るい子どもだったんですよね。
演劇がずいぶん自信になったんだと思います。子どものイキイキとした姿を見て感無量でした。
卒業して、これで終わりではなく、これからが本当の始まりなのだと感じています。
○○先生、△△先生、□□先生、校長先生、他のすべての先生方にも、ぜひ私の感謝の気持ちを伝えてくださいね。
本当にありがとうございました。』