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「第2期卒業生によせて」

先月、卒業生による卒論発表会がありました。
卒論のテーマは過去、現在、未来の自分史。生徒たちがそのことを考えるのは初めてではありません。

入学した時から「なぜ表コミに来たか?」を問われ、自分の過去を振り返り、今の自分の状況と立ち位置を確認します。そしてここで心身共に安定させ、力を蓄え、自分の進む道をみつけ、希望を語るようになっていく3年間を見てきました。

生徒の1人は低学年から学校に行き渋り、まもなく不登校となりました。その生徒は、小学生時代、すべての感情を失くし何も感じなくなったと言いました。中学時代の一つの出会いが生徒の人生を変え、希望を持つようになり、長い不登校歴を経て全日制の表コミを選んだのです。

不安で一杯の入学当時から、安心できる場で人間らしい感情を取り戻した、とその生徒は言います。勉強は大変つらかったけれど、漢字が読めるようになり書物を読み出したこと、単語さえ分からなかった英語を今では読解し、勉強の楽しさを分かるようになったと語ってくれました。

ずっと閉ざしていた心が少しずつ開き、同年齢の仲間達と青春を駆け抜けたその生徒は将来の目標のために4月から大学生になります。

きらきら光る生徒の大切な人生の一部に関わらせてもらったことに心から感謝いたします。
在校生、特に2年生は12月の演劇公演の後、一皮むけたようになり、生徒間に流れる空気も優しくなり、また個人では次の進路を見据え、準備に入り始めている生徒が増えてきました。

1年生の中にはまだ表コミで何をするかが明確でなく、基本的な生活習慣が身に付かない生徒もいます。4月、学年が上がることで、自覚が生まれ、自分の人生を丁寧に送れるようになってほしいと思います。