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来年も丁寧に、誠実に、そして真面目に

 今年も後数日ですが、まだ2年生の演劇の余韻が残っています。「安心出来る環境と関係性で人は変わる」表コミでは言い古した言い方ですが、表コミを受験した時の彼らの劇的な変化を見ると、いつだってそれを思わずにはおれません。 
   
 演劇を終えた後、「今までのことが色々思い出されて・・・」と目が真っ赤だったお母さん。「自分の子どもって全然気がつかなくて・・・ あんなに大きな声で堂々と・・・」とあるお母さん。演劇の力は生徒だけでなく、家族や私達教職員、ボランティアまで広く深く拡がります。アンケートの中には「すごく良かった」“ 表コミ保護者・生徒になる予定”と書いてあるものもありました。

 さて、既にクリスマスは終わりましたが、ミッションスクールである表コミにとってクリスマスは大きな意味を持ちます。クリスマスイブ礼拝で聴いた話です。ある小さな教会でのクリスマスペイジェント(寸劇)。クリスマスのペイジェントはイエス様誕生のお話です。イエス様の母マリヤと父ヨゼフがベツレヘムで宿屋を探します。マリヤは臨月で今にも生まれそうな大きなお腹を抱えているですが、宿はどこもいっぱいです。そこで仕方なく馬小屋でやすみ、そこでイエスを産みます。宿屋の主人の役をした高校生は「部屋はいっぱいです」と断るのが本当の台詞で、彼は練習中も間違いなくそう言っていたのですが、本番では台本通り「部屋はいっぱいです」と断ったものの、立ち去るヨゼフとマリアを見て「待ってください。行かないでください!私の部屋を使ってください!」と叫んだそうです。他の役者も観衆も何より本人が一番驚いたでしょう。魂の声が思わず外に出たのでしょう。

 大切なことは目で見えません。大切なことはモノとかお金とか形になったものではないのです。生徒達自身だけでなくそのご家族も、大切な何かを感じ取られた一年だったことを願わずにはおれません。そして生徒のかけがえのない青春を一緒に伴走させてもらっている私達も、生徒から大切なことを感じさせてもらった一年でした。生徒達は一人ひとり違うので、私達の過去の対応がそのまま生かされないことがあります。だからこそ、来年も丁寧に、誠実に、そして真面目にしていきたいと思っています。今年4月から8ヶ月。誰一人として表コミを辞めていないことが嬉しく、来年3月には在校生とも全員揃って3年生を笑顔で表コミから送り出すことが私たちの願いです。

2011年もどうぞよろしくお願いします。