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6期生 マダン劇成功!

6期生 1年間の歩み  

目からは涙が溢れ出した、6期生によるマダン劇(*)舞台の最後に、全員でソーラン節を踊る1年生に合わせて太鼓を叩く手が、小刻みに震えました。1年生の1年間の歩みが頭をよぎります。

4月に入学してから、約11ヶ月。自分のことだけでもいっぱいいっぱいのはずなのに、周りのクラスメイトを気遣う1年生。どうやったら上手くコミュニケーションがとれるのか真剣に悩み苦しむ1年生。楽しいことや嬉しいことばかりではなかったけれど、生徒たちの悩みや苦しみの側には、常に他者の存在がありました。そっと声をかけ合う生徒やあたたかく見守る生徒。この1年、生徒たちの互いを想い合う姿を見るたびに、本当に優しい学年だなと。そんな1年生を見ながら、私たちスタッフも1人ひとりが安心して過ごせるクラス作りを目指し、共に歩いてきました。

 

7月に行われた阿南キャンプで互いの距離が近づき、自分を素直に表現できる空間が広がりました。「失敗しても大丈夫。決して否定されず、笑われない。」ということが分かってからの生徒の飛躍は大きく、急速に成長していきました。しかし、表コミやクラスメイトに慣れ、本来の自分たちの姿を取り戻し、素直に自分を表現できるようになると、そこに新たな課題がでてきます。ステップを登ったからこその課題です。私たち大人の社会でもあることですが、距離が近くなると気兼ねなく話せる関係性が作れる反面、配慮に欠ける部分が出てきます。そんな関係が生まれそうになった時、再度互いの存在を認め合い、共有感を持ち続けることができるようにという思いをこめ「マダン劇」を取り入れました。

 

1年生で舞台に立つ。しかも通常の舞台であれば裏方と言われる役割の人たちも全員観客の前に立つ。そんな、表コミでも初めての取り組みに、生徒たちはもちろんサポートをする私たちも緊張の毎日でした。しかし、長時間に及ぶ全体練習の後も自主的に残って練習をする姿やその居残り練習に付き合い「できてるよ!」と声をかけ合い何度も練習に協力をする姿。自分の役のところだけでなく、全ての人の演技が上手く進むようアドバイスをし合う姿がありました。また、衣装は、全て自分達で考えました。ある女の子が、1人の男の子に言いました。「この腕章、演技の中で破って踏みつけてもいいよ」。その腕章は、彼女が一生懸命家で作ってきた力作でした。そんな腕章を彼の演技のために、破ることを提案する。相手を思っていなければ言えない言葉です。そんな彼女の気持ちに、公演後、彼は「腕章がとても嬉しかった」とふりかえりました。

 

そして、3月5日の本番。私たちの、不安や緊張をよそに、300人近くの観客の前で堂々と演じる1年生の姿がありました。それは、表コミが常に思い描く“全員舞台”という言葉がピッタリの舞台となりました。

 

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公演後、涙を流す生徒。健闘を称えあい抱き合う生徒。「出て良かった~」と大声で叫ぶ生徒。“3年生のために”を合言葉に一生懸命練習してきたからこその笑顔が、そこにありました。ホームルームの教室で、最後に全員で感謝の気持ちをこめて言った「ありがとうございます!」。大きな声で息のピッタリ合った感謝の言葉でした。互いの存在を認め合えた1年間の歩みです。

 

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【生徒の感想より】

・最高の思い出になりました!

・普段あまり会話をしないクラスメイトでも、皆で集まることをすれば、自然と会話ができることに気づいた。

・青春の1ページ

・クラス全員がキラリ☆です。

・いつも笑いがたえませんでした。

・クラスのみんなのおかげで劇は最高だった!

・やっぱり1年生は、かけがえのない最高のクラスだ。

・みんなカッコ良かった。最高の1年だった。

・劇が成功した時の達成感は最高!

・みんなで1つのことをやりとげるというのは、こんなに嬉しくてすがすがしいものなんだと感じられたことです。

・稽古を一緒にしてくれてありがとう!

・みんなともっと仲良くなった。達成感!団結力!

・みんなお疲れ様!ありがとう。大好きだ!!

・来年もこのクラスで演劇やりたーい!

・表コミに入学した時には考えてもみないことだった。でも楽しかった。

・ありがとう。このクラスのみんなとだから、できたことだと思います。

 

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*マダン劇は韓国の大衆演劇で、マダン(広場)周りを観客がぐるりと取り囲み、演者と観客が声をかけあいながら、一体となって取り組む演劇です。それに西洋から入ってきた舞台演劇を取り入れ、民衆の伝統的な文化の楽しみ方を再現しています。