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4期生卒業公演 終演

4期生卒業公演 「おはようございます。」

 

3月5日(土)、1年生(6期生)による熱いマダン劇の後を受け、3年生(4期生)による卒業公演「おはようございます。」、終了しました。

 

2年生の演劇公演「シュリ」に取り組んでいた頃から、その強い個性と本番度胸を高く買われていた4期生。彼らに演出・植村先生が課したハードルは、「シチュエーション・コメディ」でした。

 

4期生は入学以来、遅刻や欠席が多い学年で、全員揃う場面が少なく、チーム一丸となって一つの目的に向かうことが難しい学年でした。しかしいざと言う時の個々のアドリブ力は目を見張るものがあり、2年演劇や他のイベントも、抜群の個人技と度胸で乗り切ってきました。

 

 

そんな彼らに課された「シチュエーション・コメディ」という高いハードル。

緻密に構成された脚本は、台詞のうろ覚えを許しません。言葉を少し変えるだけで消えてしまう“笑い”のポイント。テンポよく、スピーディな会話劇のため、台詞の“間”を外すと、他の仲間を混乱させ、場の空気を一瞬にして壊してしまいます。

 

 

 

 

 

 

今回の公演「おはようございます。」のために必要なのは、本当の意味で「本気で」、しかも「全員が」揃って高いモチベーションを維持して何度も練習することでした。これまで彼らが本当の意味ではできなかった「全員心を一つにして、全力を尽くす」。それができなければ、この公演は成功しない。

 

 

 

 

 

昨年秋から始まった稽古。年が明けても、「この程度でいいだろう」、「これまでも何とかなったから大丈夫」、一部の3年生の気の緩みは見て取れました。努力しているのですが、「本気で」努力する、「全員で」力を合わせる、ということがどういうことか、まだ気づけない。舞台の最終的なクオリティを決めるのは、生徒たち自身です。講師たちは指導はしますが、全員が「本気」に気づけるかどうかは生徒達にかかっています。

 

 

 

本番4日前、大阪文化服装学院の学生たちのサポートのもと行われたリハーサルの場で、そのことを全員が共有しました。出だしこそ好調だったリハーサルは、後半に進むにつれて少しずつ歯車が合わなくなり、笑いもおきなくなり、ラストのパーティの場面で完全に空気が停止。

結果は、惨敗。最終シーンにたどり着くことなく、その日の稽古を終えました。

 

 

 

その日、台詞を覚えなかった生徒に対して、責めるクラスメイトは誰一人としていませんでした。文句を一切言わず、あと3日間「本気で」頑張ろう、と全員が思っていました。誰もが認める4期生の持つ「優しさ」が、クラスを静かに包んでいました。言い訳が一番多かった4期生の口から、「でも・・・」という言葉が消えました。

 

 

 

 

 

当日の朝、クラス全員がやるべきことを理解し、率先しててきぱきと動く姿を見て、「できるんやったら、最初からやればええのに。」生徒の一人が言いました。でも「全員が」「本気で」力を合わせることを本当に理解することは、4期生にとってはそれほどまでに、難しいことだった。

そして最後の最後で、彼らはそのことを理解しました。

それが、最後にして最大の、彼らが得たものではなかったかと思います。

 

 

 

 

舞台裏の1人1人に、ドラマがありました。「○○が○○を黙って助けてくれた」「演技後落ち込んでいたら○○君が励ましくれた」信頼を物語るエピソードのオンパレードがそこにありました。失敗してもめげずに会話を続ける。必ず次の仲間にバトンを渡す。誰かが失敗したら、絶対に他の誰かがフォローする。

舞台上、一人は全員のためにあり、全員は一人のためにありました。

   

 


音響・照明スタッフは、2人の2年生が全面的に引き受けてくれました。ともすれば「やってあげてる」感覚になりやすい他学年の公演に、彼らは本当に自主的に関わってくれました。指示をあおぐのではなく、「これがいいかな?」「こっちはどう?」と積極的に提案をしてくる彼らの力で、舞台はさらに輝きを増しました。

 

 

 

そして、大阪文化服装学院・ファッションビジネス学科スタイリストコースの1年生の皆さんが、衣装メイクを全面的に担当、サポートしてくれました。11月の顔合わせからほぼ4ヶ月かけてじっくりと練り上げられた舞台衣装とメイクは、役者の気持ちを高め、また303号室を楽しげに演出してくれていました。

 

 

  

 

物語は、人生最後のお楽しみ部屋、鍛治田総合病院別館303号室で行われる、最高の宴、焼肉パーティ。

終わりの時が近づいているのを知りながら、その時を、人生を最高に楽しもうと四苦八苦する登場人物は、卒業式を2日後に控えて全力を尽くす4期生たちの姿と、そのまま重なりました。4期生の持つ優しさ、あまのじゃくの裏にある純粋さ、強さ、笑顔が、舞台上に次から次へとあふれ出していました。

 

 

 

当日かたずをのんで見守る300人近い観客の前で、大きな緊張の中で、プレッシャーをはね返し、彼らは「本気の」舞台を務め上げました。昨年ほとんど台詞がなかった生徒が、本当にキラキラした姿で観客を笑わせていました。持ち前の本番強さとノリの良さはそのままに、最高のチームワークと気遣いを見せてくれました。

 

 

「楽しかった、ですね。」

「最高やったね。」

「・・・次、何パーティー、やろっかなぁ?」

 

3年間の集大成として、最後に最高の舞台を見せてくれた4期生に、乾杯です。

 

 

 

 

【観客アンケートより】

・余裕すら見えた演技は、練習を繰り返した結果なのだろうと思いました。

・ここまでクオリティ高いとは思いませんでした。“つくりこむ”って素晴らしいですね。

・観ていて学生だというのを忘れそうになるくらいでした。

・3年間で培った絆があるからこそ出来る舞台だなあと思いました。色々なことがあったと思いますが、すべてがこの舞台に昇華されていましたね。

・それぞれの持てるキャラクターがぞんぶんに発揮されていて、見ててワクワクしました。

・面白くて、さいごジワーッとしみてくる。さすが役者ぞろいの4期生と思いました。

 

【生徒の感想より】

・自分の性格とは真逆の役だったので、難しかった。このステージをドラマの舞台だと思って頑張った!

・緊張した。でもこの役を演じることが出来て良かったです。

・久々に感情を爆発できて楽しかった

・誰かがミスしてもフォローしあっていた。

・正直、上手に演じられたか分からなかった。頭ん中真っ白になってはっと気づけば終わり近く。

・リハーサルの時に、一緒に悔しがるやつがいてくれた。

 

【得たものは?】

・役作りの難しさと、みんなで一つのものを作り成功させた達成感

・協力すること

・演技をする楽しさ

・今はっきりとこれだというものは無いが、おそらく何かはあるんだろうな。

・自分を表に出すこと、助け合い、行動の責任

・自分でも何かやれる!

・準備の大切さ

・皆で一つのものを作り上げる凄さ