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総合学習「釜ヶ崎から学ぶ」

日雇い労働の街 釜ヶ崎から学ぶ

 

 

今日の総合学習は、釜ヶ崎について学びます。ゲストティーチャーは、長年釜ヶ崎で炊き出しなどのボランティアをされている牧師の米加田 周子先生です。まず、事前学習でみんなが調べた「釜ヶ崎」、「日雇い労働」、「選挙権」のことを発表しました。そして、米加田先生のお話が始まりました。

 

『みなさんは、東日本大震災のニュースで炊き出しという言葉を何度も耳にしましたね。炊き出しが必要な時、それは、緊急事態です。家がなく、食べるものがなく困っている時に必要な支援です。釜ヶ崎では炊き出しがほぼ毎日行われています。では、毎日が非常事態といはどういうことでしょうか。日雇い労働とは、雇う側にとってはとってもラッキーです。なぜかというと、例えば、ビルを一つ建てるとします。ビルが建つまでは、人手が必要です。しかし建ってしまえば、必要なくなります。必要なくなったら、はい終わり。と出来るのが日雇い労働です。雇われる側にとっては保障がありません。その上、3Kと言われる「キツイ、汚い、危険」な仕事ばかりです。日雇いの仕事がある時は、日当と言ってその日に給料が貰えます。給料がある時は、家賃が払えます。しかし、仕事がなくなったらどうなりますか?そうです。家賃が払えなくなります。すると、路上で生活しなければならなくなります。その結果、釜ヶ崎には沢山の野宿生活をしている人がいるのです。釜ヶ崎にはドヤと呼ばれる簡易宿泊所があります。仕事があった時には、1000円ほどで宿泊できるドヤで休みます。

 ここから、ビデオを見ましょう。これは、選挙権をかけて戦った方々の記録です。釜ヶ崎の労働者の方たちは、定住することができないので、住所がありません。しかし、住所がなければ、車の免許を取ることも、郵便を受け取ることも、そして、投票することもできないのです。そこで、市役所は、解放会館という場所に住所登録することを許可していました。しかし、2006年に、ある事件がきっかで、この解放会館に3300人分の住民票が置かれていることが明らかになり、マスコミが騒いだこともあって、この登録が消されることになりました。住民票が消されるということは制度上「死」を意味します。そこで、市を相手取って裁判を起こしました。選挙権は法律で保障された権利です。それが、今ここにいるのに、奪われてしまったのです。そして、最後のシーンでは、このビデオを撮っている人は韓国人で、長年日本にいるにも関わらず選挙権がないということが語られます。また、それをどうにかして欲しい。と切実に願う労働者の方の姿がありました。釜ヶ崎には、在日韓国人の方も多くいます。それがなぜか。それは、みなさんが自分の力で調べてみて下さい。』

 

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大変身近な場所にあるのに、知らないことが沢山あります。米加田先生のお話を聞きながら、「何故」が浮かんできました。この「何故」をきっかけに学びを深めていきたいと思います。本当に温かな優しい眼差しで語って下さった米加田先生。本日は本当にありがとうございました。

 

【生徒の感想】111215-3.jpg

     この地域のことを今まで私は知りませんでした。こんなことがあったことを知らなかった自分が恥かしいと思いました。

     とても難しい内容でしたが、世の中の辛さ、苦しさ、理不尽さ、だけどその中にある団結力が分かりました。近年携帯の普及によって釜ヶ崎の存在意義が薄れているようですが、独自にある温かさやコミュニティーを失わないで欲しいと思いました。

     釜ヶ崎のことはニュースで聞いたことはあったが、詳しいことは知らなかった。今回の話を聞いて、少しは詳しく理解できたと思う。こういう問題は複雑で難しいということを実感した。