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総合学習発表会~講師の声~

総合学習発表会 “自然を見つめるまなざし” 


「キターーーーー!」
彼の言葉に、私は身体中の血液が逆流するような興奮を覚えました。


2年生総合学習発表会にむけての追い込み作業、いわゆる「ダメ出し」。
かっこいいパワーポイントのスライドや、耳ざわり良いキレイな言葉に満足せず、矛盾や辛さから逃げずに、一人ひとりが真摯に自分と向き合うことを要求します。

例えば「地球環境」がテーマの場合、さらっと「リサイクル」「節電」とまとめるのではなく、自分は実際に何ができるのか。
クラスのみんなができることは。 問題点は?
テーマをどんどん深く掘り下げ、具体的で実行可能な、「心に響く」言葉に落とし込んでいく過程を大切にしています。

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S君は地球温暖化について調べ、「リサイクル」「節電」の必要性まで到達しました。
「あなたは、何ができるの?」
講師からの「ダメ出し」に、彼が真剣に悩んで悩んで、悩みぬいて出した答え。
それは「周りの風景をしっかり見て、自然を感じること」でした。

家の近所の桜の木が、年々元気がなくなっている。環境の変化のせいなのだろうか? とても気になる。
そこから、自分の身の回りの自然を感じることが大切だと気づいた。

私は、真剣に語るS君を前に、心が震えました。


2009年6月5日の夕暮れ時、パリのエッフェル塔前の広場に、人々が集まりました。

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世界環境デーにあわせて上映される映画『HOME』を見るためです。
『HOME』は環境問題への関心を高めることを目的に、世界100カ国以上で一斉に公開されたドキュメンタリー映画です。
ほとんどが無料公開され、史上最大規模の「エコイベント」として、世界中で話題となりました。
ご覧になった方も多いと思います。

地球上の自然のすばらしさを、ヘリコプターから空撮。
美しい自然だけでなく、汚染物質を吐き出す工場や空港など、人間の営みまで・・・。
海、山、空、平原が、息をのむような美しい映像で綴られています。
そして、人間と都市の赤裸々な姿・・・。
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フランスの航空写真家ヤン・アルテュス・ベルトラン氏が監督、製作総指揮はリュック・ベッソン氏が担当。
作品監修は、アル・ゴア元アメリカ副大統領と、アメリカの地球環境問題のオピニオンリーダー的存在 レスター・ブラウン氏が行いました。
撮影は54カ国、217日。 編集作業に約3年。
制作費約13億円はグッチ・グループなどを傘下に収めるフランスのPPRグループのサポートという、ドキュメンタリー映画としては破格のプロジェクトです。
ベッソン氏はインタビューで「地球という『HOME』(家)は一つしかない。それを壊したら、みんな死んでしまうと訴えたい」と語りました。


環境問題の基本は、この美しい地球と自然を心から愛し、守ろうとする気持ちを持つこと。
S君はその必要性を、自分の体験から感じとったのです。

3年生では、総合学習をもう一歩進めた「総合研究発表」があります。
自分でテーマを選び、自分の考えを深め、それをいかに伝えるか、より深い学びに挑戦します。
もちろん3年生情報科では、「いかに思いを伝えるか」をテーマにした授業で、この『HOME』をとりあげます。

そして、その他の生徒たちもしっかり自分で調べ、考えることが求められ、そのことに向き合いました。
2年生のこの時期に、自分の力で、学びの扉を開けたS君。
3年生でのさらなる飛躍、期待しています!


●You Tube『HOME』(英語版、1時間33分)
http://www.youtube.com/watch?v=jqxENMKaeCU&fmt=18
●『HOME』公式サイト(仏、英、西語 2分27秒のダイジェスト版が見られます)
http://www.homethemovie.org/
●『HOME~空から見た地球~』日本版公式サイト
http://home.asmik-ace.co.jp/