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大変!でもかわいい!赤ちゃん先生!

 表コミでは、3年間を通して段階的に性教育を学んでいきます。2年生の性教育のテーマは「妊娠・出産・性に関する正しい知識を学び、互いに大切にしあう関係を築けるようになること」。前期は家庭科の時間に、妊娠や出産、子育てについて学びました。後期はLHRや総合学習の時間に、様々な性教育のプログラムを行なっています。その最初のプログラムとなったのは「赤ちゃん先生」。「赤ちゃん先生」とは、現在育児中のママと成長中の赤ちゃんが講師となり、赤ちゃんとのふれあいを通して、癒しや笑顔、命の尊さを伝え、生きていることの素晴らしさを伝えたり、育児体験を通して親になる準備について学ぶプログラムです。今回10期生は、赤ちゃんとのふれあいを通して赤ちゃんの可愛さを体験するだけでなく、ママ講師の方々から24時間体制で赤ちゃんのお世話をする育児の大変さを学びました。

 まずはお子さんが3人いらっしゃるママ講師の方から、一日の過ごし方についてお話を伺いました。「赤ちゃんがぐずるときは、赤ちゃんを抱いたまま料理をすることもあります。食事も大変です。前かけは嫌がるので普段の服のまま食事をすると、1度の食事で3回も着替えないといけないときもあります。そうこうしているうちに上の子は食事に飽きて遊び始めてしまうので、叱ったり機嫌をとったりしてなんとか食べさせていると、自分の食事の時間はほとんど取れません。最近の主食はチロルチョコです。」という笑うに笑えない現実に、一同は戸惑いを隠せませんでした。「お風呂も大変です。子どもの体を洗ったり湯船に入れたりしながらの入浴では、自分はなんとかシャワーを浴びるぐらいしかできません。お風呂から上がったら、次は服を着せなければなりません。服を着るのを嫌がって逃げるので“待て-”といって子どもを追いかけると、子どもはもっと逃げていきます。」、「その後も遊び足りない子どもたちは、なかなか寝ようとしてくれません。やっとのことで寝かしつけても、夜中に3~5回は起きてしまいます。」自分たちの想像をはるかに超えた大変さに、10期生一同息を呑みました。「それでもやっぱり可愛いから、自分より子どもを優先してしまう」という言葉に、ママの大きな愛を感じました。

  赤スケ.jpg  赤たわむれ.jpg  赤スケ2.jpg

 そして迎えた赤ちゃんとのふれあいの時間。絵本を読ませてあげたり一緒におもちゃで遊んだり、ふとしたことで泣いてしまう子を一生懸命あやしたり、育児の一端を体験させていただきました。初めての人に囲まれて、緊張して輪の中から出てしまった子を安心させようと、面白い顔をしながら近づき、ブリッジで赤ちゃんを笑わせようとする姿もありました。

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つるだっこ.jpg その後の育児体験では、マザーバッグを背負って赤ちゃんを抱っこしながらベビーカーを持つなど、日頃ママたちが行なっていることを体験させてもらいました。マザーバッグにはおもちゃやタオルなど何かあったときのために様々な物が入っており、実際に背負うと見た目以上に重量があります。ベビーカーの重さは軽いものでも4kgはあり、その上赤ちゃんを抱っこするとなると立っているのがやっとです。ママたちは普段この状態で階段の昇り降りをしたり、もう1人の子どもと手をつないで歩いたりしています。普段ママがどれだけの重荷を背負っているのか実際に体験し、ママの大変さを改めて実感しました。「赤ちゃんがどんなに嫌がっても電車に乗らないといけない時、どうする?」、「電車の中で赤ちゃんが泣いちゃったら?」など、ママたちが普段直面している問題についても、みんなで考えました。

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プログラムの後、ママ講師の方々からは、「あんなに一生懸命子どもと接してくれて本当に嬉しかったです。」、「子どもが泣いてしまっても嫌な顔をせずなんとかしようとしてくれていて、温かい気持ちになりました。」、「普段ママは誰からもほめてもらえないので“大変ですね”と言ってもらえるだけで涙がでるぐらい嬉しかったです。」など、嬉しいお言葉をいただきました。また、「“保育園に入れようかどうか迷っているのだけどどう思う?”と聞いたら、“自分は保育園で親と離れてさみしかったから、家で見たほうが良いと思う”、と言う子もいれば、“自分は保育園が楽しかったから、経験させてあげてほしい”、など、自分の体験を元に真剣に答えてくれました。」など、10期生の優しさと誠意が感じられるエピソードを聞くこともできました。

 自分の知らない、人の苦労を知ることの大切さ、自分を育ててくれた親の愛、そして子育てをすることの責任を感じる貴重な時間となりました。2年生は引き続き、性の多様性について学習していきます。

*今思う保護者の方への気持ち(生徒のふりかえりシートより)

・こんなに大変なのにここまで育ててくれてありがとう。感謝の気持ちでいっぱいです。

・少しずつ助けられる側から助ける側に変わっていけたらいいなと思った。

・自分はよく泣いていたと父に聞いたことがあったので、大変だっただろうなと思った。

  大変だったと思うけどありがとう。

・大人になって働いたら、恩返しができたらいいな。

・いつも「朝なんでもっとちゃんと起こしてくれへんの」とかひどいこと言ってごめんな

 さい。今の自分があるのは、私を支えてくれた人たちのおかげです。ありがとう。

・いつも迷惑かけてすみません。今までありがとう。これからもよろしくお願いします。

 

 

**** 在籍生の7割が不登校経験者の学校 *****  

大阪YMCA国際専門学校高等課程 表現・コミュニケーション学科