2年生「演劇に向かう今の【大切さ】と【難しさ】」

※この記事は表コミ通信11月号に掲載されたものです。

 コロナ禍という今までにない異常事態においても『鬼滅の刃』や『半沢直樹』が世間でフィーバーしている様子を見ていると、エンターテイメントというものが持つ力を改めて感じます。楽しみ方は人それぞれですが、物語に浸ることで少し現実を忘れたり、感動したり、ストレスを発散したり、時には元気をもらったり...。きっと多くの生徒もそこから力をもらい、毎日を過ごしていることでしょう。

 15期生も例外ではありませんが、それらを純粋に楽しむだけでなく、今までにない経験をこれからすることになります。それは、そのエンターテイメントの力を「もらう側」から「伝える側」になる経験をすること。そう表現すると少し大げさかもしれませんが、冬の演劇公演は、それをちょっぴり体験できる場になります。もちろん、プロになるための演劇をしている訳ではないですし、エンターテイメント性を第一目的としている訳でもないので、全く同じようには語れないでしょう。しかし、誰かに見せるために自分なりの想いを込めることや演劇に取り組む中で時には苦しんだり、時には何かを感じ取ったりしながら成長をしていく過程、プロであろうと演劇が初めての高校生であろうと変わりはありません。

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▲演劇公演当日の様子

 今、15期生は日々の学校生活を送りながら、「自分の言動の影響力」を感じている時期だと思います。

 後期も少し経った今、「授業中の○○という発言はヒドいと思う」「教室の中でクラスメイト同士の○○という言葉や関りが、見ていて嫌な気持ちになる」といったことがクラスメイトから聞かれるようになり、クラス全体で「居心地の良い空間作りのために、自分は何が出来るのか」を考える時間を持ちました。

 自分にベクトルを向けながらも周囲を気にかけることの大切さに気づき始める頃合いです。

 1年次と比較すると関りが増えたからこそ周囲の言動が気になったり、自分の言動が周囲に与える影響を考えたり。言い方一つで意味合いが大きく変わってしまう言葉の選び方に悩み、「これを言うと○○と思われてしまうんではないだろうか...」という不安に襲われています。正解が分からない中で、それでも日々にしがみつきながらクラスという社会を、引いては自分が生きているこの社会を考え始めています。

 それらは確実に成長しているからこそ生まれてくる葛藤でもあり、2年生という「曖昧さのある」学年だからこその難しさでもあります。大人になる過程で全ての人が多かれ少なかれ通過してきた道のりですが、試験が近づき、進路についても考え始めなければならないこのタイミングであっても何とか乗り越えねばなりません。

 担任としては、15期生が総じて少し苦手としている「早めに周囲の大人に相談すること」「自分の本音を伝えること」が、よりできるよう働きかけたいと考えています。ゲームやアニメ、映画などをとりわけ好む15期生ですが、きらびやかに見えるエンターテイメントの世界や大人の世界でも上記のことが重要なのだと今は気づいておらず、「相談すること」や「間違えること」、「助けてもらうこと」を「未熟なこと」と捉えている節があります。

 周囲が全てをすぐに解決できるわけではありませんが、様々な人に自分の苦しみを話し、時には共感してもらったり、時にはアドバイスをもらったりという経験が「必要」なだけでなく「重要」で、それこそが「成熟」であることに気づいて欲しいと感じています。

 彼らの苦しみに担任としていち早く気付くためにも、そこで私たちがより良いかかわりをするためにも、お子様のことで少しでも気になることが、保護者の皆様からご連絡をいただけますと幸いです。