16期生 演劇冬公演「物語依存症の男」
表現・コミュニケーション学科では、2年生の後期から「演劇」の授業を行います。
それぞれの役割を演じる中で、自分とは違う価値観に出会うことができ 、また仲間との信頼関係が強くなる、3年間の表コミ生活を語る上で欠かせない時間を生徒たちは経験します。
12月15日(水)、夏から約半年間「演劇」の授業で練習を重ねてきた16期生演劇冬公演「物語依存症の男」は大成功のうちに幕を閉じました。
2年生の演劇では、例年45分間ほどの作品に挑みますが、今年の16期生に課されたのは1時間30分にも及ぶ大作でした。
表コミの演劇は、それぞれの個性に合わせてキャスティングがされることも特徴の一つです。
専門用語を伴うセリフ、幕裏での複雑な移動、細かな音響・照明の切り替え...。それぞれがタイミングよく自分の役割を果たすことで初めて一つの作品になる。そんな緊張感が漂う中、時にはそのプレッシャーに耐えられず、生徒の間に大きなモチベーションの差ができることもありました。「セリフが全然覚えられない」「自分がいなくても成り立つのではないか」と個々の葛藤もある中で、今一度クラスメイトの気持ちを確かめ合おうと、16期生がこれまで大切にしてきた「話し合い」を行い、みんなの意気込みや気持ちを伝え合いました。その結果、表情が一転し、一気に本番に向かう雰囲気ができあがりました。互いに認め合い、理解し合える16期生だからこそ作ることのできた雰囲気だと思います。



本番当日、役柄に合わせたメイクと衣装を身にまとい、舞台上に集結した16期生。「泣いても笑ってもこれが最後」と、これまでの歩みを確かめるかのように円陣を組みました。後輩を応援するために駆けつけてくれた3年生司会の呼びかけで、いよいよ緞帳が上がります。

感染症対策のため、来場者を制限した上での上演となりましたが、いざ観客席を見ると緊張は高まるもの。舞台裏では、自分の出番が近づくと「緊張する...」「間違えたらどうしよう」と平然を保てなくなる生徒も見られました。しかし、スポットライトを浴びるとその姿がまるで嘘かのように堂々と自分の役を演じ切るのです。例えミスをしても、「大丈夫!」と声を掛け合ったり、劇中でアドリブに昇華したりと、互いに支え合う姿が印象的でした。
16期生が表コミに入学するまでに辿った道のりに思いを馳せながら観劇された方も多くいらっしゃったのではないでしょうか?見た人全員に元気と感動を、朗読劇に挑む1年生・卒業公演を控える3年生には良い刺激を与え、無事に終演することができました。
行事の後に必ず行う振り返り。「やって終わり」ではなく、次へ繋げるために表コミが大切にしていることです。
保護者やスタッフが見守る中、椅子を円に並べ、興奮が冷めないうちに1人ずつ胸中を語りました。主役を務めた生徒は「今まで前に出ることは苦手だったけれど、この16期生だったからこそ成し遂げることができた」と話してくれました。3年間のターニングポイントとなる2年生演劇冬公演。さらに絆が深まり一体感が増した16期生のこれからが楽しみです。