不登校問題を家庭でどう捉えるか
(1)不登校とは助けを求めてくれた子供の姿

子どもの助けを求める声を聴こうという姿勢になって子どもの話を聴く以外にはないのです。

不登校とは助けを求めてくれた子どもの姿です。そのように子どもを捉えることによって、私達は原因追求から少し気持ちが軽くなると「何をしてほしいの?」と子どもを問い詰めることをやめ、それよりも自分が何を求められているかを考えることができるようになります。我が子が不登校になった時に「どうしたの?」と原因追求的な気持ちになっている時に、親は実際のところ子どもの助けを求める声を聴いていないのです。原因追求よりも子どもの苦しみを理解することができるようになるためには、この子はこのままではやっていけない、死にたいほど苦しいのだという子どもの助けを求める声を聴こうという姿勢になって子どもの話を聴く以外にはないのです。

子ども達の心の苦悩は決して一つのことが原因で起こるものではありません。非常にそれは複雑な構造的なもので、原因があったとしても、それはいじめがあったから学校へ行けない、不登校になるとかという単純な原因のものではなく、学校制度のあり方など、もっとずっと大きな問題の中にこそ答えがあるということを知ってほしいと思います。

講師 廣木克行氏

(神戸大学発達科学部教授・登校拒否・不登校問題全国連絡会全国世話人・教育科学研究会全国委員)

「大阪YMCAでの講演会より一部抜粋」
著書:「子どもが教えてくれたこと」(北水)
「人が育つ条件」(北水)「21世紀を生きる君へ」(北水)