不登校問題を家庭でどう捉えるか
(2)親にできること

子どもの求めているものは何かなと理解する、真剣に子どもと向き合う親になること

不登校問題をどう解決していくか。まずは子どもの話をよく聴くことが何よりも大切です。大事なのは親と子どもの関係です。その関係があたかも子どもに原因があるかのように追及する関係ではなくて、子どもの話を聴き、子どもの求めているものは何かなと理解する、真剣に子どもと向き合う親になることが、子どもの助けを求める心に応えてやれることです。

二番目は、不登校の子ども達の問題は心の歪みによって起きるのではないということを確信してほしいのです。不登校の子ども達の心はさまざまなもつれを持っています。決して歪んではいません。そのもつれは、一つの原因や一つの出来事で出来たのではなくて、この社会・教育の在り方が子ども達の心に多くの疑問を引き起こすのであり、とても構造的な問題なのです。それが子ども達の心のもつれを引き起こしています。歪みというイメージは一旦、歪んだら元に戻り難いニュアンスを持っています。「もつれ」と「歪み」は本質的に違います。もつれとは、糸がもつれるというそんなイメージです。細い糸ほどもつれやすい。もつれたなって思った時に無理に引っ張るのではなくて柔らかく柔らかくそれを扱っていくとやがてそのもつれは、解けていきます。子ども達の心は、そんなもつれを持っているのに一生懸命引っ張ろうとする人達がいます。学校へ連れて行こうとして引っ張るのです。そうすればそのもつれている糸をもっと硬くもつれさせてしまいます。そのイメージを頭の中において、不登校の子どもには優しく「大丈夫.!必ずこの糸のもつれは解けるからね。」と言ってあげてください。そうして子ども達が抱え込む悩みの原因は、一つや二つで限定できるものではないと考え、相乗的な原因が絡み合っているそのもつれがほどけるまで待つ姿勢で関わってほしいのです。

講師 廣木克行氏

(神戸大学発達科学部教授・登校拒否・不登校問題全国連絡会全国世話人・教育科学研究会全国委員)

「大阪YMCAでの講演会より一部抜粋」
著書:「子どもが教えてくれたこと」(北水)
「人が育つ条件」(北水)「21世紀を生きる君へ」(北水)