不登校問題とは
(1)不登校って何?

広い意味を持った、学校に行かない状態だけを表す言葉だと考える必要があります。

不登校問題についてお話する前に、不登校とは一体どういう意味でしょうか。定義風に言うと「子どもが学校に行っていない状態」を指す言葉です。そこには学校行かない理由は含まれていません。実際の理由は多様ですが、例えば学校なんかつまらないから怠けようと思っている気持ちで学校に行かないいわゆる「怠けによる不登校」という問題があります。また、家庭の経済的事情がなかなか思うように行かず、家庭の中が落ち着かず学校に行く気にならない。そんな子どもの「経済的理由による不登校」という問題もあります。

でも多くの不登校の子ども達は、その中で「登校拒否」と呼ばれるグループです。その子ども達は学校に行きたい。行かねばならないと思っています。そして、親もまた何とか学校に行ってほしいと思っている。本人も行きたい親も行ってほしいと思っているのに、学校に行こうとすると心と身体が反応して身動きできなくなってしまいます。時には、発熱したり、吐き気をもよおしたり、頭では行こうと思っているのに心と身体が反応して身動き出来なくなってしまいます。これは不登校という大きなくくりの中の一つを登校拒否と長い間言われてきました。

最近はただ「不登校」と言う場合が多くなっていますが、今云いましたように、そこには登校拒否で苦しんで悩んでいる子ども以外も含んでいますから、不登校というのはもうちょっと広い意味を持った、学校に行かない状態だけを表す言葉だと考える必要があります。

講師 廣木克行氏

(神戸大学発達科学部教授・登校拒否・不登校問題全国連絡会全国世話人・教育科学研究会全国委員)

「大阪YMCAでの講演会より一部抜粋」
著書:「子どもが教えてくれたこと」(北水)
「人が育つ条件」(北水)「21世紀を生きる君へ」(北水)