不登校問題とは
(3)行き渋りからさみだれ登校へ

子どもが病気だから学校に行けないのだと受け止めるケースが多いのです。

不登校問題の最初は、だいたい行き渋りから始まります。そしてさみだれ登校。親はひょっとして我が子もと思った時、まるでカナヅチで頭を殴られたようなショックを感じ、同時に何とか子どもを行き続けさせようとして、子どもを後ろからプッシュしますね。でも子どもの心はガンとして動きません。やがて親が行かせようとしても子どもが行こうとしてもいけない日があります。そんな日が重なってくるうちに子どもは本当に身体の反応、つまり発熱や頭痛や腹痛というさまざまな症状を訴えてくるのです。

我が子の登校拒否、不登校という問題に気づいた親達は、最初小児科や内科に連れて行きます。お医者さんは色々と調べますが何も出てきません。そうするとお医者さんは「これは心の問題ではないでしょうか」と心療内科とか思春期外来とかを勧めてくれます。そして精神科、思春期外来に行きますと彼らは精神の病を見るプロであります。不登校という問題を抱えるの子ども達は病気ではありませんので、精神科の先生達は子ども達の言っていることを十分捉えきれない場合が多いようです。それでだいたい出てくるのは、自律神経失調症や起立性障がいなどという診断名です。それは単なる子どもの症状に名前を付けたものに過ぎませんが、それを聞いた親は、子どもが病気だから学校に行けないのだと受け止めるケースが多いのです。こうして不登校という問題を抱える子供と親との親子関係に混乱が持ち込まれることも決して少なくありません。

講師 廣木克行氏

(神戸大学発達科学部教授・登校拒否・不登校問題全国連絡会全国世話人・教育科学研究会全国委員)

「大阪YMCAでの講演会より一部抜粋」
著書:「子どもが教えてくれたこと」(北水)
「人が育つ条件」(北水)「21世紀を生きる君へ」(北水)