不登校問題とは
(4)二次反応へ...

不登校問題の『二次反応』の入口は多くの場合「昼夜逆転」から始まります。

不登校という問題を抱えた子ども達はやがて家の中に引きこもります。はじめのうちは起きてくるけれども学校へ出かけようとすると身動きもしなくなってしまいます。もう鉄の塊のように重たくなって動かなくなってしまいます。最初のうちは、引っ張っていくことが出来たけれど、そのうちに柱にしがみついて何が何でも動かなくなる我が子を見て、これは一体どうしたんだろうと親達はパニックになります。やがて子どもは不登校問題の『一次反応』を越えて『二次反応』へ入って行きます。子どもにとって学校に行っても安心できないばかりか、我が家にいても安心できないのです。だから、もう一つ追い詰められた次の症状が出てくる訳です。それが不登校問題の『二次反応』と言います。

不登校問題の『二次反応』の入口は多くの場合「昼夜逆転」から始まります。子どもにとってこれは深い意味があります。子どもたちは朝になると自分の方をぎょろっと見るお母さんと「今日は行くかな?」というお父さんの眼差しに出会います。子どもはその期待の眼差しに出会うと固まってしまいそうな状態になってしまうのです。しかもみんなが学校に行く、ざわついた朝の空気は彼にとってとても辛いのです。それならばその辛い時期を最も深い眠りで迎えたいと考えるのは、彼にとって必要不可欠な選択なのです。その頃に一番深い眠りの状態になるには4時か5時頃に眠りに就けばいいのです。そうしようと思ったらできるだけ夜遅くまでゲームをしたりテレビを見たりすれば目覚めることはないのです。これは自分を守るための方法です。親は「この子一体何なんだろう?」と思う訳で親と子の間の相互理解ではなくて相互不信が起こります。この「昼夜逆転」の時に相談に来てくれたらまだいいのですが、親はまだ自分の力で何とかしようと躊躇するケースが少なくありません。その内にやがて子どもは他人か自分に対して暴力を振るうようになります。

講師 廣木克行氏

(神戸大学発達科学部教授・登校拒否・不登校問題全国連絡会全国世話人・教育科学研究会全国委員)

「大阪YMCAでの講演会より一部抜粋」
著書:「子どもが教えてくれたこと」(北水)
「人が育つ条件」(北水)「21世紀を生きる君へ」(北水)